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金価格が急落。ドルの復権で金は再び表舞台から姿を消す運命なのか?

 

 これまで長期にわたって上昇が続いてきた金相場が変調している。15日のニューヨーク金先物市場は先週に引き続いて大幅安となり、先週末に比べて140.40ドル安の1トロイオンス=1360.60ドルで取引を終えた。33年ぶり、史上2番目の下落幅であった。

 下落は複合的な要因といわれている。これまで金や銀などに投資してきたヘッジファンドが好調な株式に乗り換えるため大量の売り注文を出したことや、15日に発表された中国のGDPが予想を下回ったことなどが影響していると思われる。

 ここ数日の下落は短期的な要因であり、市場が落ち着けばある程度相場も回復する可能性が高い。だが、長期的に見て金の上昇相場は終わったと見る関係者も少なくない。ドルが長期的な上昇トレンドに入りつつあるというのがその理由である。

 歴史的に金とドルは逆相関の関係を示すことで知られている。ドルが安くなると、金が上昇し、ドルが高くなると金は安くなる。
 2000年以降、ドルの信用不安から金価格は急上昇し一時は6倍近くまで高騰した。世の中では金ブームが発生し、これまで投資の経験がなかったような人まで金を買いに殺到した。確かにここ10年の金価格の上昇は目覚ましく、かつてない水準まで価格は上昇した。だが物価水準で金の価格を調整するとまた違った姿が見えてくる(グラフ参照)。

 1970年代のドル危機の際にはドルは現在価値で2000ドルまで上昇している。その後ドルが安定するにしたがって金の価格は下落し、2000年前後には300ドルを割る水準まで落ち込んだ。リーマンショック以降は、70年代以来のドル危機といってよいかもしれないが、物価調整済みの金価格は1980年につけた高値を更新していない。
 市場では70年代以降続いた歴史的なドル安トレンドが転換し、長期的なドル高が始まったとの見方が強くなってきている。ドルと金の逆相関が成立するのであれば、金はこれから長期にわたって下落することになる。

 他の商品と異なり、金は状況によっては貨幣を超えた信用力を持つ。ドルを大量供給するFRB(米連邦準備理事会)への反発から金本位制への移行が議論されたり、中央銀行が保管している金の有無をめぐっていろいろな噂が出るのも、金が持つ不思議なパワー故のことである(本誌記事「ドイツ連銀が国外に保管している金塊の一部を国内に移送するワケ」参照)。

 好景気に沸き、金価格が下落していた90年代には金の魅力はすっかり薄れており、誰も話題にすらしなかった。もしドルの長期的な復権が始まるとすれば、再び金は90年代の立場に逆戻りしてしまうのかもしれない。そして再び金が脚光を浴びるのは、次に発生したバブルが崩壊し、あらたな通貨危機が世界を襲った時である。

 - 経済

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