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秘密主義のフランスでとうとう閣僚が資産公開へ。フランスも世界標準にようやく近づいた

 

 フランス政府は4月15日、エロー首相以下、全閣僚が保有する資産を公開した。フランスにおいて閣僚が資産公開を行うのは初めて。

 事の発端は、カユザック前予算相がスイスに隠し口座を保有しているとマスコミが報じたこと。当初カユザック氏は口座は存在しないと嘘の説明をしていたが、捜査当局が脱税の容疑で捜査を開始することになり、結局カユザック氏は辞任した(本誌記事「欧州で権力者のお金に関する不正が次々と発覚」参照)。
 オランド政権には国民から多くの批判が寄せられており、就任以来、支持率の低迷に苦しむオランド大統領はとうとう閣僚の資産公開に踏み切ることになった。

 フランスはカトリック国であり、お金や女性問題といったスキャンダルに触れることは一種のタブーであった。かつてミッテラン大統領に愛人がいたことを問い正したジャーナリストは大統領に一蹴され、国民もそれを支持してきた。
 だが近年、グローバル化が進展してきたことで、古い価値観が残るフランスにも改革の嵐が吹き荒れている。政治家の金銭問題や社会に女性差別が色濃く残っていることなど、一昔前であれば許容されていたことが通用しなくなってきている(本誌記事「男女平等と経済成長の密接な関係。女性差別が激しいフランスから分かること」参照)。
 ドイツや北欧などのプロテスタント圏では、閣僚の資産公開は当たり前のことであり、当然スキャンダルも政治的に許容されない。日本にも閣僚の資産公開制度がある。
 フランス政府は、来週にも全議員に資産公開を義務付ける法案を提出する予定であり、透明化の流れはさらに加速しそうな状況である。

 もっとも今回の資産公開は会計監査を経ておらず、その内容が保障されているわけではない。また名義を変更するなどの措置を講じれば公開対象から外すことも可能であることから、情報の正確性について疑問の声も出ている。
 日本の例を見ても、例えば安倍首相の私邸(3億円はするといわれている)が親族名義になっているなど、公開制度ですべてを把握できないことは明らかである。ただフランスとしては初めての試みであり、公開にこぎつけた自体にそれなりの意味があるとの見方が大半だ。

 ちなみに閣僚でもっともリッチだったのはファビウス外相で約600万ユーロ(約7億5800万円)、最も少なかったのはバロベルカセム女性権利相で約10万ユーロだった。
 ファビウス外相の父親は著名な美術品収集家で古美術商を営む企業の株式も保有していることから、多額の資産があるのは当然の結果であった。ちなみにオランド大統領は昨年の大統領就任時に資産を公開しており、金額は約120万ユーロとなっている。

 - 政治

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