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中国が国防白書を発表。その内容を日本人はどう解釈すべきか?

 

 中国政府は4月16日、国防白書を発表した。アジア太平洋地域に対する軍事的シフトを強める米国を暗に批判するとともに、南シナ海と東シナ海を中心に自国の主権と海洋権益を守るという姿勢を明確にした。東シナ海については「日本が騒ぎを起こしている」と名指しで非難している。

 白書では世界経済にとってアジア太平洋地域がますます重要な舞台になっていると指摘。米国は同地域の安全保障戦略を「調整」しているとし、米国がいわゆるリバランス戦略によってアジア太平洋地域に軍事力をシフトさせていることに対して強い警戒感を示した。
 また東シナ海と南シナ海でいくつかの国が軍事同盟を強化し緊張状態を作り出していると指摘。特に日本については具体的な名前を挙げた。

 白書ではたびたび中国は覇権主義は採用しないと主張する一方で、中国沿岸部の権益は中国の主権にとって絶対的であるという主張を繰り返している。額面通り受け取れば、黄海はもちろんのこと、東シナ海と南シナ海は中国の庭であり、この部分に関して中国は一切妥協するつもりがないことを強調したことになる。

 この主張は近年の中国軍の行動に沿ったものであり、おそらく中国の真意と考えてよいだろう。
 日米同盟が堅固だった時代には、中国軍は黄海の範囲でしか制海権を確保することができなかった。だが日本の国力低下や日米同盟の不安定化をきかっけに、中国は日本やフィリピンに対して強硬に領有権を主張するようになり、海軍の行動範囲を東シナ海と南シナ海まで広げてきている(中国の艦船はたびたび宮古海峡を横断して太平洋に出る行動を繰り返している)。中国の狙いは両海域の制海権確保にあるとみて間違いない。
 そうなってくると、尖閣諸島の領有権については、(倫理的にどちらが正しいかという問題はさておき)中国にとっては絶対に譲れない一線ということになる。

 日本が中国に対してどう行動すべきなのかは、残念ながら日本だけで決めることができない。現在、東シナ海と南シナ海の制海権を中国が100%確保できていないのは、同地域に米国の第七艦隊(横須賀と佐世保が母港)が展開しているからだ。
 日米同盟が従来のまま堅持され、米国が中国包囲網を形成する戦略を採用すれば、中国が両海域の権益をむやみに主張することはできなくなる。だが米国にはこの地域のプレゼンスを低下させるという選択肢も残っている。
 もしそうなった場合、米国にはこの地域の主導権を誰に委ねるのかという問題が出てくる。日本の海軍力を強化し日本に委ねるという選択肢ももちろんあるが、思い切って中国に委ねてしまうというウルトラCも十分にあり得るのだ。

 日本では米国を後ろ盾に中国に対抗すればよいという安易な楽観論も見受けられるが、米国がハシゴをはずさないという保障はどこにもない。一方、日本には独自の安全保障政策を展開するだけの国際的プレゼンスはもはや存在していないという厳しい現実がある。
 頼みの綱であった経済力は低下する一方であり、最近では韓国企業をライバル視しなければならないなど、以前では考えられない状況に陥っている。日本は金融市場の開放や規制緩和に消極的であり、アジアのリーダーになる道を自ら放棄してしまっている(金融市場の覇権と軍事的覇権は表裏一体)。

 いずれにせよ、中国が白書において東シナ海の権益確保を明確にうたったことで、中国側の立場ははっきりした。双方が譲歩しあうという日本式の「対話」が成立する可能性は低く、「対話」が成立するとすれば、日本側の「譲歩」になる可能性が高い。
 国力低下の中で、どのように権益を確保していくのか、日本は難しい舵取りを迫られている。

 - 政治, 経済

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