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羽田・成田の地下鉄建設に年金と生保資金を活用。本当に大丈夫なのか?

 

 国土交通省は2020年代の開業を目指している羽田・成田を結ぶ地下鉄路線の建設に、年金基金や生命保険会社の資金を導入する検討を開始した。実現すれば大型インフラへの民間資金導入は初めてのケースとなる。

 資金導入の対象となるのは、以前から国土交通省が整備計画を立てているもので、新しく設置する新東京駅を中心に、京成電鉄の押上駅と京浜急行電鉄の泉岳寺駅を結ぶ約11キロの路線。総工費は3700億円で1日あたり22万人の利用を見込んでいる。
 資金導入にはSPC(特別目的会社)を利用し、SPCに参加した年金基金や生保は、30年にわたって工費に利益を加えた金額を受け取る。

  国内では低金利が続き、年金基金や生保は投資する商品がないという事態に直面している。安定的に利益を生み出すことができる公共インフラに対する関心は極めて高いという。

 ただこうした公共インフラ投資を年金や生命保険の資金で賄うことにはいろいろと問題がある。
 まず保険会社だが「デュレーション」の観点からインフラ投資が運用体制にそぐわない可能性がある。デュレーションとは、債権債務の残存期間のこと。保険会社にとって将来支払う保険金は負債に相当するが、保険金は多くの場合、かなり先になってから支払が行われる(多くの人は長生きするため)。保険会社の平均的なデュレーションは15年程度といわれている。
 保険会社がバランスのよい経営をするためには、負債のデュレーション(保険金の支払い)と資産のデュレーション(投資している商品の運用期間)ができるだけ近いことが望ましい。
 日本は高齢化が急速に進んでおり、新規保険加入者の年齢は上がっている。これにともなってデュレーションは短くなる傾向にある。現在15年程度のデュレーションがさらに短くなった場合、20年から30年で償還する公共インフラへの投資はアンバランスになる可能性がある。

 年金基金はさらにやっかいだ。年金は若い世代の人の負担で高齢者の支払を行う方式なので、高齢化が進むと支払額が急増してくる。加入者が減少して基金を取り崩す事態にでもなった場合、長期の投資商品は換金性に問題が出てくる。

 民間資金を公共インフラ投資に導入するPFI法が施行されてからすでに15年近くが経過する。こうした大型案件がこれまでほとんど存在してこなかったのは、リスクなどを勘案すると民間資金にとってあまり魅力がなかったからである。

 公共事業の予算が削られ資金難に苦しむ国土交通省と、運用難から存続そのものが取りざたされている年金基金を救うためのウルトラCとして立案されているなら、これほど無意味なことはない。

 - 政治, 経済

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