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安倍首相が竹中氏の「特区」プランを採用。外資誘致、カジノなど刺激的な文言が並ぶ

 

 安倍首相は4月17日、産業競争力会議に出席し、公共インフラの民間開放、規制緩和、外資誘致などを目的とした「特区」の創設を進めていく考えを明らかにした。

 特区の創設は産業競争力会議の民間議員である竹中平蔵慶応大学教授らが強く提唱していた。政府は近く、国家戦略特区諮問会議を設置。竹中氏のペーパーをたたき台に、首相がトップに立って具体策を検討する。

 産業競争力会議はこれまでは経済産業省を中心とした事務局主導で議論が行われており、特定産業への支援、補助を中心にした政策が提言されていた。
 だが竹中氏や楽天の三木谷会長など、一部の「構造改革派」議員らはこの動きに反発。独自の提言を行うべく、水面下での根回しを行っていた。

 今回「特区」に関するプランが提言されたことで、アベノミクスの3本目の矢である成長戦略に関する議論は、官僚主導型の従来施策と自由競争型の新しい施策が真正面からぶつかる状況となった。

  竹中氏のペーパーには多くの提言が盛り込まれているが、その柱となるのは、規制緩和、優遇税制および公共インフラの民間開放である。さらにこれらを先行的に実施するための場として特区の創設をうたっている。
 具体的には放送・通信インフラ、空港、有料道路、上下水道、地下鉄などがその対象として列挙されている。また環境整備事項として、都市の国際化、雇用の流動化、外国企業の誘致、カジノ誘致などを盛り込んだ。

 そして、これらを先行的に実施するための拠点が「アベノミクス戦略特区(仮称)」である。具体的には世界から最先端のビジネスを呼び込む「国際先端スーパー特区」、農業を強化するための「農業拠点特区」、最先端の医療サービスを提供する「医療ツーリズム特区」などが想定されている。

 これらの施策は竹中氏が小泉政権における構造改革で実施しようとした内容そのものであり、市場メカニズムを活用してサプライサイドから経済を刺激するという考え方に立脚している。
 特区の創設を強く主張しているのは、これらの実現には各方面からの反発が必至であり、すぐに実現することは難しいと考えているからである。まず特区を作り実績を積み上げ、その後、全国レベルに展開するという道筋を描いていると思われる。

 安倍首相はもともとは竹中氏と同じ新自由主義的路線の推進者であった。だが第2次安倍内閣では、官僚主導型の統制経済路線に転向している。
 安倍首相の特区創設の決断は、ある意味で第2次安倍内閣におけるこれまでの経済政策と真っ向からぶつかる内容であり、霞が関を中心に多くの反発が予想される。あくまで改革は特区だけにとどめ、政治的な牽制球としてこれを用いるのか、本気で構造改革路線を追及するつもりなのか、今のところ安倍首相の真意は定かではない。

 ただ、特区の創設にはかなり危険な側面がある。特定の外国企業や先端企業だけが恩恵を受け、一種の既得権益になってしまう恐れがあるからだ。だが特区の創設を経ずに、一気に規制緩和を進めようとすれば、国論を二分する事態になることは目に見えている。特区の導入はそこをうまくかわすための「戦術的」なプランというわけだが、果たして吉と出るか凶と出るか。
 カジノ構想という刺激的な内容も含まれており、場合によっては参院選を見据えた政治的な動きにつながる可能性も出てきている。

 - 政治

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