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ボストン爆破テロ事件でFBIが新捜査手法。スマホ画像の提供を広く市民に呼び掛け

 

 米連邦捜査局(FBI)は4月18日、ボストン・マラソンのゴール付近で起きた連続爆発事件について、事件に関与した疑いのある男2人の画像を公開した(写真)。FBIでは広く情報提供を呼び掛けているが、武器を所持している可能性が高く、極めて危険であるとも指摘している。

 当初FBIは容疑者もしくは参考人に関する記者会見を開催する予定であったが、2度にわたってこれを延期。捜査機関内部だけの情報収集では限界があると判断し、写真の公開に踏み切った。

 FBIでは、さらに踏み込んだ情報提供の呼び掛けも行い注目を集めている。
 ボストン・マラソンの会場には数多くの観客が詰めかけており、多数のスマホ映像が存在すると考えられている。この中のどれかに犯人が写っている可能性が高いことから、一般市民に広くスマホ画像の提供を呼び掛けたのである。

 FBIのWebサイトにはアップロード用のページが設けられ、名前、電話番号、電子メールアドレスという簡単な情報を入力するだけで誰でも画像をアップできるようになっている。すでに画像解析の専門家が召集され、これら大量画像の分析を行う準備が始まっているという。

 日本も含め世界ではすでに多数の監視カメラが稼働しており、犯罪捜査に活用されている。だが従来型の監視カメラは捜査当局が映像を独占的に使用することになり、捜査機関による政治への介入や人権侵害などを引き起こす危険性も指摘されてきた(かつてFBIは政治家のスキャンダルを勝手に調査し、FBIに対して有利に取り計らうよう政治家を脅迫するという事件も引き起こしている)。
 日本については、監視カメラの設置状況やその情報の取り扱いに関する不透明さが指摘されている(本誌記事「ドイツで告知なしの監視カメラ導入が禁止に。日本国内の議論はあまりにも低レベル」参照)。

 スマホを使った画像は、その数において監視カメラをはるかに上回る。また画像そのものは多くの市民がそれぞれに撮影したものであり、捜査機関が独占的に管理しているものではない。このため、監視カメラが抱える問題点の多くをクリアできるといわれており、今回の捜査はスマホを使った新しい捜査手法のテストケースになると期待されている。

 もっともITの世界には光と影の両面がある。捜査機関がこの手法を活用できるということは、民間でも同じことができることを意味しており、理論的には誰でも情報収集を呼び掛け、画像を解析して容疑者を特定する作業が可能となる。
 スマホによる情報解析は、捜査機関による捜査権の独占という民主主義の根幹に関わる問題も内包しているのだ。いずれにせよ、犯罪捜査が新しい時代を迎えたことだけは確かなようである。

 - 社会, IT・科学

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