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個人消費が中間層にも拡大の兆し。日本経済が構造転換したサインか?

 

 これまで富裕層に限定されていた消費拡大が中間層にも波及する可能性が出てきた。日本百貨店協会は4月18日、3月の全国百貨店売上高概況を発表した。
 それによると、全国の百貨店における3月の売上高総額は5447億円となり、前年比3.9%の大幅なプラスとなった。前年比プラスは3カ月連続だが、これまでは0.2%前後で推移しており、3月は異例の伸びとなった。

 百貨店の販売動向の中で、株高に顕著な反応を見せていたのは高額商品であった。
 高額商品(美術品・宝飾品・貴金属)の販売は今年に入って大幅に増加しており、1月は対前年比6.8%増、2月は8.6%であった。高級車の販売も年明けから好調になったことなどから、アベノミクスの効果ではないかといわれていた。

 消費拡大は富裕層の一部だけに限定されるとの見方も強かったが、今回、売上高全体も大きな伸びを見せたことで、消費の拡大が中間層にも及んでいる可能性が高くなってきた。

  日銀の量的緩和策の拡大が経済成長に結びつくシナリオとしては主に2つが想定されている。ひとつは当座預金残高の増加が銀行の融資拡大を促し、企業の設備投資が動き出すというシナリオ。もうひとつは円安と株高が個人の消費マインドを刺激し、個人消費が牽引役になるというシナリオである。

 社会が成熟している米国と異なり、日本の経済成長率における個人消費の割合は6割程度である(米国は7割)。従来の景気回復局面のほとんどは、企業の設備投資が活発になり、やがて個人消費に結びついてくるというパターンであった。

 もし今回景気の回復に成功するとすれば、従来とは逆のパターンになる可能性が高い。というのも、企業の内部留保は過去最高水準となっており、設備投資を積極的に行う兆候は今のところ見られないからである。また、設備投資の代表的な指標といわれる機械受注は低迷が続いているほか(本誌記事「企業はまだまだ設備投資に慎重。アベノミクスも最後は米国頼み?」参照)、円安にも関わらず輸出の数量は減少する一方だ(本誌記事「円安の効果も半減?日本の輸出数量減少に歯止めがかからない」参照)。

 今回、個人消費が経済の機関車役になった場合、それは日本経済の構造が根本的に転換したことを示している可能性がある。戦後一貫して続いてきた輸出産業中心の産業構造からサービス業中心の構造へと変化したのである。
 政府が実施する産業政策のほとんどは輸出産業を支援するためのものであった。もし日本経済の体質が変わったのだとすると、多くの政策について根本的な見直しを迫られることになるだろう。政治家のパワーバランスも劇的に変化するかもしれない。

 個人消費の伸びが企業の設備投資増加にはつながらず、結局、景気は腰折れしてしまうのか、活発な個人消費が経済全体を動かし、日本経済の体質転換を証明するのか、1年以内にその答えは出てくるだろう。

 - 経済

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