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国債市場の大混乱は日銀官僚による黒田総裁への嫌がらせというのは本当か?

 

 日銀による「異次元」の金融緩和策は国債市場の大混乱をもたらした。緩和策発表翌日の債権先物市場では、債権先物が予想に反して大暴落、一時はサーキットブレーカ(一時的な取引中止措置)を発動する事態となった。その後、価格は戻したが、金利は高めの推移が続いている。

 債権が下落したのは、日銀が緩和策の発表後、直ちに国債の大量買いを実施しなかったことが原因。
 日銀は緩和策発表日の4月4日に「当面の長期国債買入れの運営について」というペーパーを配布。5日以降に国債の買い入れを実施する旨を告知していた。
 市場では日銀による大量の買いを想定し、金利は低下していた(債券価格は上昇)。だが5日には大量の買いを実施せず、混乱した投資家が一斉に売りに出し、国債価格が急落した(利回りは上昇)。

 なぜこのような事態になったのか真相は不明である。5日は金曜日であったことを考えると、本格的な市場操作は週明けからという可能性は高く、投資家の期待過剰という面も大きい。一方で、そのような事態は日銀も想定できたはずであり、何らかの行き違いやミスがあった可能性もある。

 一部のマスメディアは、国債市場の混乱を受けて、黒田新総裁の緩和策には無理があるという論調の報道を行っていたことから、今回の混乱は黒田体制に反発する日銀官僚が意図的に引き起こしたという指摘も出ている。
 現代ビジネスでは、今回の混乱は日銀による意図的なものであり、黒田新総裁は人事権を発動し、金融市場局長を更迭したと報じている。

 実際、青木周平金融市場局長は5月1日付で決済機構局長に異動となる。ただこの人事が発表になったのは4月17日であり、大きな組織の人事であることを考えると、すでに前から決まっていた可能性もある。5日の市場混乱を受けてのものなのかは何ともいえない状況だ。

 日銀は市場の混乱以降、かなり積極的に国債の買い入れを行っている。4月8日の週には2兆6000億円規模の買い入れを行い、翌週もほぼ同額の買いを実施した。4月19日時点での買い入れ総額は10兆円を超えており、当座預金残高は70兆円に迫る状況となっている。
 国債市場の混乱を収束させるため、国債の買い入れと合せて、共通担保資金供給と呼ばれる資金供給を行ったことも当座預金残高の増加に拍車をかけた。

 実はこのペースは想像以上のものである。今年の年末時点での当座預金残高の目標値は107兆円なので、現時点ですでに目標値の3分の1を達成してしまっているのだ。さすがに今後は多少買い入れのペースを落としてくる可能性が高い。
 ここ2週間の買い入れは国債やCPに集中していたことから、来月以降は、ETFやREITなどのリスク資産にシフトし、株価を上昇させるという作戦に出てくるかもしれない。
 市場の混乱は引き起こしたものの、今のところ緩和策は想定以上に進んでいるという状況だ。

 市場の混乱といい、日銀官僚反乱の噂といい、今回の金融政策では前代未聞の事態が続いている。その結果がどうなるかはともかく、少なくとも「異次元の緩和」であったことは間違いないようだ。

 - 経済

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