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安倍首相が経済界に女性登用を要請。女性の社会進出は経済成長を実現するのか?

 

 安倍首相は4月19日、日本記者クラブで講演し、自身が提唱する成長戦略について説明した。この中で首相は「女性の活躍は成長戦略の中核である」とし、社会における女性登用に本格的 に取り組む姿勢を強調した。

 これまでも女性の登用については国内でも何度か議論されてきた。だが安倍首相による今回の施策が従来と大きく異なっているのは、女性登用を社会政策としてではなく、経済政策と捉えている点である。
 安倍首相は女性の登用が成長の源泉になると位置付けており、経団連など経済3団体との会談において、「全ての上場企業において、まずは役員のうち1人は女性を登用して欲しい」と具体的な要請を行ったことも明らかにした。

 女性の社会参加は経済問題であるという首相の指摘はある程度当たっている。
 ダボス会議で知られる世界経済フォーラムが昨年10月に発表した世界男女平等ランキングの結果は非常に興味深い。
 フィンランド、ノルウェー、スウェーデンなどランキングの上位に位置している国の1人あたりGDPは総じて高く、大国でもドイツ(13位)、イギリス(18位)、米国(22位)など経済的に優位な国家が上位に位置している。一方、先進国でランクが低いのは、フランス(57位)、イタリア(80位)など経済が停滞している国が多い。ちなみに日本は101位でイタリアよりも悪い順位となっている(本誌記事「日本の男女平等ランキングは人権抑圧国家並み」参照)。

 問題は、女性の登用が進まないので経済が成長しないのか、経済が成長しないから女性の登用が進まないのかという点である。
 男女平等のレベルが高い国は、ほとんどがプロテスタント圏であり、基本的にグローバルな自由競争を推奨している国である。一方ランクが低い国の多くは保守的なカトリック圏であり、自由競争に否定的である。この事実から考えると、女性の社会進出は競争政策の結果であるとも考えられるのだ。

 フランスは欧米の先進国の中でも男女差別が激しい国として知られている。フランスの地方議会に占める女性議員の割合は日本よりも低く、職場の男女差別も根強い。
 フランス政府はこの状態を解消すべく、クォーター制(4分の1を女性にすることを目指すシステム)を導入しているがあまり効果は上がっていない(本誌記事「男女平等と経済成長の密接な関係。女性差別が激しいフランスから分かること」参照)。

 こういったアファーマティブ・アクション的な政策は、弊害はあるにせよ、やらないよりはやった方が効果があるということは歴史が証明している。ただ男女平等と競争政策には密接な関係が成立している可能性が高く、逆に言えば、女性活用政策のカギは、競争政策であると言い換えることもできる。

 安倍首相が提唱する女性活用を成功させるためのカギは、規制緩和や競争環境の整備といった新自由主義的成長戦略にあるというわけだが、これらに対しては否定的意見も根強い。
 安倍首相はこれまで意図してか、意図せずかは定かではないが、アベノミクスの本質について明確に説明してこなかった。アベノミクスの本質は統制型の経済政策にあるのか、自由競争的な経済政策にあるのか、そろそろ白黒をつける時期に差し掛かっている。

 - 政治, 社会, 経済

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