ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

円安にも関わらず自動車メーカーが次々と国内生産を縮小。空洞化は最終段階へ突入

 

 円安が進行しているにも関わらず、自動車メーカーが国内生産を縮小させている。トヨタ自動車は4月19日、高級車車「レクサス」の米国生産を2015年から開始すると発表した。現地生産を行うことで、好調な北米市場へのシフトを強化する。またレクサスについては、同社が中国生産も検討していると一部メディアが報じている。

 レクサスを生産するのは、同社における北米最大の拠点であるケンタッキー工場。同工場を拡大し、国内で生産している年5万台分の生産を同工場に移管する。同社では為替に依存しない体質を作りたいとしている。

 三菱自動車は、岡山県にある水島製作所の設備を集約し、国内の生産能力をおよそ2割削減する方針を固めた。年間約60万台ある同工場の生産能力を40万台に削減する。国内全体の生産能力は、約100万台から70万台程度に縮小することになる。

 円安が進んでいるにも関わらず、自動車メーカーが海外生産を進めるのは、国内市場が縮小しているからである。自動車は他の産業と異なり、全世界的に見ても比較的好調に推移しているが、特に成長著しいのが北米とアジアである。

 成長市場で効率よく販売していくためには、現地生産を行った方が有利であり、現地化を進めれば結果的に為替の影響も受けにくくなる。製造業の海外への移転は為替の問題ではなく、ビジネスモデルの問題なのである。

 自動車に限らず、日本の貿易全体で見ても輸出が増加する気配は一向に見られない。3月の貿易統計では、円安にも関わらず日本の輸出金額が増加していない実態が明らかになった。その主な原因は輸出の数量低下に歯止めがかからないこと。せっかく円安になっても、輸出そのものが減っているので、金額は横ばいのままなのだ(本誌記事「円安の効果も半減。日本の輸出数量減少に歯止めがかからない」参照)。

  輸出が減少すると、その分日本国内の設備投資が減少し経済成長にはマイナスとなる。だがモノ作りのグローバル化は年々進んでおり、その流れを止めることはほぼ不可能である。
 もっとも生産の海外移転がマイナスばかりかというとそうでもない。海外の現地法人が稼いだ利益の一部は、配当などの形で国内に還流してくるため、国際収支の所得収支(利子や配当収入)を増大させる効果がある。
 日本はすでに海外からの配当収入でメシを食う金融立国となっており、2004年の段階で貿易による利益を投資による利益が上回っている。現在行われている工場の海外移管はその最終段階に過ぎない。国内生産した製品を海外に輸出して儲けるというビジネスモデルは、10年近く前にとっくに終了しているのだ。

 工場の海外移転がもたらす負の側面は国内の雇用である。失われた国内雇用の受け皿となるサービス産業はまだ十分に育成されているとはいえない。時代の流れに逆らうのではなく、サービス産業を中心にした雇用の受け皿を整備することに注力した方が、トータルで日本経済にはプラスになるはずだ。

 - 経済

  関連記事

karyoku
政府が温暖化ガス26%削減という野心的な目標を設定。ただし老朽原発再稼働と省エネ徹底が大前提

 政府は2015年6月2日、2030年までに温暖化ガスの排出量を2013年比で2 …

abetpp
TPP事前協議の日米合意内容。あらゆる分野で市場開放について米との協議を確約

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉参加への最大の焦点となっていた米国と …

boeing777
ボーイングが国内生産を維持する代わりに従業員の待遇を引き下げた背景

 米ボーイングは2014年1月4日、次世代の主力機である「ボーイング777X」の …

sharpqalcomm
これではタダの受託開発!クアルコムとシャープが交わした驚愕の契約内容

 経営再建中のシャープは4日、米クアルコムとの提携を正式に発表した。市場ではシャ …

caterpillar002
世界経済を反映する米キャタピラーの決算。2014年の成長は穏やかになる見込み

 米建設機械大手のキャタピラーは2014年1月27日、2013年10~12月期の …

abetoranpu
トランプ政権のインフラ投資に日本の公的年金を活用との報道。政府は否定しているが・・・

 トランプ政権が掲げる総額1兆ドル(約113兆円)のインフラ投資について、その一 …

s&p
EUがヒステリーを起こして格付会社に八つ当たり。規制強化を決定

 欧州において格付け会社に対する規制が大幅に強化されることになった。格付け会社へ …

doruen201311
ドル円が心理的節目である100円を完全突破?関係者の多くは円安継続を予想

 為替市場において、心理的な節目となっていた1ドル=100円のカベがとうとう破ら …

no image
日産のゴーン会長、フランスではホンネ連発。だがそれは日本人自身が招いたこと

 日産・ルノーのカルロス・ゴーン会長はパリのモーターショーで、欧州では過剰生産能 …

hitachiturbin
三菱重工と日立が火力発電事業を統合。だが肝心の技術でトラブルが続き前途多難

 三菱重工業と日立製作所は6月11日、火力発電事業の事業統合に関する基本契約書を …