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日本に財政健全化を強く求めたといわれるG20声明はどう解釈すべきなのか?

 

 米ワシントンにおいて4月18日と19日、G20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)が開催された。日銀の黒田総裁が参加する初めての国際会議であり、日本の金融緩和がもたらす円安について、各国からどのような反応があるのかに注目が集まっていた。

 幸い、日本の金融政策が批判されることはほとんどなく、異次元の緩和策拡大は各国に受け入れられたとみてよい。
 一方で、日本が抱える膨大な財政赤字に関して警告が出されたと一部メディアが報じており、G20における日本の財政問題の解釈をめぐって国内でも議論が沸き起こっている。

 IMFなどの国際機関が日本の財政問題について言及する時には、必ずと言ってよいほど財務省の策略であるとの指摘が聞かれる。
 国際機関のポストのいくつかは財務省出向者の指定席となっており、確かに財務省は一定の影響力を国際機関に対して行使することができる。

 実際、財務省が増税が必須であるというイメージを広めるため、IMFのような国際機関に働きかけをしている可能性は高い。ただ、それはどこの国でもやっていることであり、国際機関の発表する声明などは、それを前提にして解釈しなければならない。

 ただ今回はG20という大がかりな国際会議であり、その声明文に何を盛り込むのかを調整するのはかなり難しい。各国からの要求をすべて盛り込んでいるとキリがないからだ。

 今回のG20にあたり日本側は、量的緩和策は成長戦略の一環であり世界経済に貢献するものであるというスタンスで事前に根回しを行った可能性が高い。またリスク要因としては財政問題が存在し、日本は財政危機を引き起こさないように留意していくとも付け加えたはずである。

 G20の共同声明では、従来のスタンスが踏襲され「為替レートを政策の目標にしない」ことが改めて確認された。その上で、日本の量的緩和策については「デフレからの脱却と需要創出を目的として実行されている」と定義し、成長戦略の一環であると認めた。

 わざわざ日本という文言が入っていることを考えれば(経済成長について具体的な国名に言及したのは日本と韓国のみ)、今回のG20の主要議題の一つが日本の金融政策であったことは明らかである。財政問題については、欧州の経済危機は財政問題が主要な原因であったことを念頭に、日本や米国に対して健全な財政を達成するよう求めるという流れになっている。
 米国に対しては、赤字削減はすでに達成されているとし、よりバランスの取れた財政を求める内容となっている。日本に対しては、信頼できる中期財政計画の策定を求めており、日本の財政問題がリスク要因である認識している。

 共同声明をそのまま解釈すれば「日本の金融緩和策は成長戦略の一環であり世界各国が効果を期待している。一方、リスク要因としては巨額の財政赤字という問題が存在している」ということになる。おそらくこの内容は日本側が事前に根回した内容と同じであり、これは各国の総意でもある。
 つまり財政問題は緊急の課題として日本に突き付けられたものではないが、各国は日本のリスク要因として、それなりの危機感を持って認識しているということである。

 今回のG20での結果は、財務省サイドや官邸、日銀の意向を云々するよりも、共同声明の内容について、素直に解釈した方がよさそうである。

 - 政治, 経済

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