ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

生保が外債投資に一斉シフトという報道は本当か?実際のペースはかなり現実的

 

 日本生命保険は4月22日、2113年度の資産運用計画を発表した。日銀による異次元の量的緩和策を受け、長期金利の低下が見込まれることから、国内債券への投資を抑制し、外国債券の運用を増やす方針だ。

 マスメディアによる報道の多くは「日本生命が外債投資にシフトし、円安がさらに加速」といった論調だが、実態はかなり異なる。
 同社の2013年度における運用資金は2012年度と比較して1兆円程度増加する。この増加分のうち、7割程度は国内債券などの円資産に配分するとしている。現状の資産ポートフォリオについても約7割が円資産となっており、新しい運用計画も、この方針から大きくはずれるものではない。

 実は同社は以前から外債へのシフトを進めており、外国債権のシェアは1年ごとに1ポイント程度増加してきている。
 現在のおおよそのポートフォリオは、国内債券が53%、国内株式が16%、外国債券が24%、外国株式が7%となっている。ただ全体のバランスを考えると、国内債券の比率を50%以下にすることは難しく、外債のシフトといってもある程度限定的にならざるを得ない。日本の機関投資家の運用が一斉に外債にシフトするいったような状況にはならないだろう(本誌記事「欧米の国債利回りが急低下。実は日銀による外債購入まで織り込まれている?」参照)。

 ただ機関投資家の運用規模は非常に大きく、日本生命だけでも30兆円以上の資金を運用している。このうち1%が外債にシフトしても、3000億円分の円売り材料となる。各社の運用を総合すると日本の貿易赤字1ヶ月分の金額が為替市場に流れ込むことになり、為替に相応の影響を及ぼすことになる。市場に対するイメージとしては円安の効果はあるかもしれない。

 短期的には大きな変化がない可能性が高いが、長期的に見ても状況が同じかどうかは分からない。日本の低金利や円安がこのまま継続する事態となれば、機関投資家の運用スタンスも徐々にではあるが変化してくる。10年後には資産の多くを外債で運用するということは十分にあり得ることである。

 為替市場では1ドル=100円の突破が目前だったが、日本生命の運用方針に大きな変化がないことからドル買いの勢いは強まらず、23日の相場は足踏み状態となった。

 - 経済

  関連記事

setsubitousi
需給ギャップが3期連続で縮小。日本経済復活なのか単なるバラマキなのか?

 内閣府は2013年12月16日、7~9月期の日本経済における需給ギャップがマイ …

abekeitaiminaosi
首相が突然、携帯電話料金の見直しに言及。賃上げ要請と同じ結果に終わる?

 安倍首相の携帯電話料金の見直し発言が波紋を広げている。日本の携帯電話会社は3社 …

tosho002
米国の利上げに市場の関心が集中。増税延期と大型補正にも市場の反応は鈍い

 安倍首相は2016年6月1日、消費増税の再延期と大型の補正予算について正式に表 …

bitcoin
ビットコインの通貨以外への応用に注目集まる。実現すれば社会コストが激減

 インターネット上の仮想通貨ビットコインに関するあらたな活用方法に注目が集まって …

oecd02
OECDの世界経済見通し。日本は好調だが10兆円の景気対策による影響が大きいと指摘

 経済協力開発機構(OECD)は5月29日、2013年の世界経済見通しを発表した …

mof02
財務省が物価連動国債を個人にも解禁。足元では金利低下が続いているが・・

 財務省は2014年5月13日、物価連動国債の個人保有を2015年1月から解禁す …

kukanjokin
空間除菌グッズの表示をめぐって消費者庁と大幸薬品が大バトル

 空間除菌グッズをめぐる消費者庁と事業者のバトルが激しくなっている。きっかけは消 …

kokuritsukyogijo
新国立競技場の建設費用は何と2500億円。昔の東京オリンピックと比較すると?

 東京オリンピックの会場となる新国立競技場の建設費が2500億円を突破する見通し …

no image
2年連続で過去最大の貿易赤字を更新。日本がインフレになるのはいつか?

 財務省は22日、2012年度上半期(4月~9月)の貿易統計を発表した。それによ …

google2014
さらに安定成長に向かうグーグル。市場は次のブレークスルー待ち

 米グーグルは2015年1月29日、2014年10~12月期の決算を発表した。こ …