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英国長者番付に見るウィンブルドン方式の実態。日本人にこれを受け入れる覚悟はある?

 

 英サンデータイムズ誌は4月21日、毎年恒例の億万長者リストを発表した。結果は上位5人のうち3人がロシア人、残り2人がインド人で英国人は最高で8位であった。英国は金融市場をオープンにして諸外国から富を集めるという金融立国だが、億万長者リストもまさにそれを反映した形となっている。

 1位になったのはウスマノフ氏で鉄鉱石の製錬企業など多くの企業を所有するロシアの大実業家。ロシアの国策企業であるガスプロムにも深く関与している。英国ではイングランドの名門サッカークラブ「アーセナル」のオーナーとしても有名。
 2位はブラバトニク氏でロシア系アメリカ人の投資家。ワーナーミュージックを買収したことで知られている。

 3位のヒンドゥージャ氏は、ロンドンに本社を置くインド系華僑コングロマリット「ヒンドゥージャ・グループ」のオーナー。現在は自動車メーカーの買収を皮切りにインドにも逆進出している。
 4位のミタル氏は、世界最大の鉄鋼メーカーであるアルセロール・ミタルのオーナー。インドの町工場から世界最大の鉄鋼メーカーにのし上がった伝説の実業家である。
 5位はアブラモビッチ氏で、石油ビジネスで財をなしたロシア人投資家。サッカークラブ「チェルシーFC」のオーナーとしても知られる。

 長者番付に入ったロシア人の多くはいわゆるオルガリヒと呼ばれる人たちである。オルガリヒとは、ロシアが社会主義から資本主義に転換する過程で現れた、政治と密接な関わりを持った実業家のこと。多くは旧ソ連の国営企業などを不正に私物化して財を得たともいわれている。一部のオルガリヒはプーチン体制を批判し、逮捕されたり暗殺されたりしている(本誌記事「プーチン大統領と敵対する亡命ロシア人富豪が死亡。暗殺ではなく自殺といわれているが」参照)。

 ロシアは金融市場が未整備であり、政治的なリスクも大きいことなどから、これらの資本家の多くはロンドンを第二の活動拠点にしている。
 英国は衰退から復活させるため、ウィンブルドン方式と呼ばれる政策を採用し、積極的に海外の資本や人材を呼び込んできた。ウィンブルドン方式とは、市場は英国にあるが、そこで活躍する人材は英国人ではなく世界から有能な人物を呼び込むというもの。テニスの全英オープンは非常に高いブランド力を持っているが、その試合で活躍するのは外国人選手ばかりであることからこの名がついた。

 ミタル氏は根っからの起業家でヒンドゥージャ氏は古い華僑財閥であり、ある意味まっとうな資本といえる。一方ロシア人3名のお金の出所は少々怪しく、現在も政治的リスクを抱えた資本といえる。だがウィンブルドン方式を成功させるためには清濁併せ飲む度量が必要であり、まさに3枚舌といわれれた英国人ならではの政策といえるだろう。

 日本でもアベノミクスの一環として外資誘致の特区設立やカジノ構想などが持ち上がっている。こういった施策には、怪しいお金も集まってくるが、うまく活用すれば、他国のお金を使って自国を潤すチャンスにもなる。
 だが一方で多少の危険ともうまく付き合っていくタフさが必要になる。日本人にこうしたお金をうまくコントロールする覚悟はどの程度出来ているだろうか?

 - 政治, 経済

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