ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

TPPを見据えアイリスオーヤマが農業ビジネスに本格参入。流通改革の手本となるか?

 

 農業分野においてTPP(環太平洋パートナーシップ協定)締結後を見据えた動きが活発化している。宮城県仙台市に本社を置く、家庭用プラスチック製品大手アイリスオーヤマは東北産のコメの流通事業に本格参入する。仙台市内の農業生産法人「舞台ファーム」と提携し合弁会社を設立、50億円をかけて大規模な精米工場を建設する。

 新会社は4月末に設立の予定。東北の農家や農業生産法人と契約を結び生産者から米を買い取り、全国の大手スーパーやコンビニエンスストアに販売する。初年度の売り上げは16億円、3年後には100億円を目指す。

 アイリスオーヤマは、家庭用の半透明収納ケースの大ヒットで急成長したメーカー。現在では、家庭用プラスチック製品を中心に、インテリア、ガーデニング、大型家具、家電など様々な商品を製造販売している。海外拠点の整備にも早くから取り組んでおり、極めて高収益体質の企業として知られている。

 TPP締結が農業分野にもたらす影響はいろいろと議論されてきた。農業関係者の中にはTPPへの参加に対して強硬に反対する人も多いが、それは必ずしも生産者(農家)とは限らない。農作物の流通や農業に対する金融システムを担ってきた農業団体がTPPへの参加によって寡占状態が崩れてしまうことを強く警戒しているという側面がある。

 だが一方で、寡占状態の硬直化した流通システムが日本の農業の競争力を弱めてきた面も否定できず、農家の生産性だけでなく農業全体での改革が求められているのも事実である。日本の農作物の中間コストは極めて高く、割高といわれる韓国よりもさらに高いことで知られている(本誌記事「韓国で野菜の流通コストが政治問題に。だが日本はもっとひどいぞ!」参照)。

 アイリスオーヤマの経営能力の高さは同社の業績が証明しており、このような企業が農作物の流通市場に参入することの意義は大きい。同社が運営する精米工場が順調に業績を伸ばすようであれば、日本の農業の問題は生産者側ではなく流通側にあることが明確になる可能性もある。

 ちなみに同社の精米工場で生産されるコメは、小分けパックにして少人数世帯でも買いやすいように工夫されているという。また脱酸素剤が入っており長期間保存も可能だという。工場は2014年2月から生産を開始する。

 - 政治, 経済

  関連記事

kengyo
欧米で仕事を掛け持ちする「マルチワーカー」が増加中。日本では普及しないワケ

 複数の仕事を掛け持ちする人をマルチワーカーと呼ぶが、不況が長引く欧州ではマルチ …

tanbo
TPPを前にとうとう減反政策を転換。だが日本のコメ農家は大規模化で強くなれるのか?

 政府は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の締結を視野に、50年にわたって …

komei
連立与党の動きを知りたければ、公明党の発言に注目すべし。

 自民・公明の連立与党において公明党が政策決定のカギを握る局面が増えてきている。 …

abekeizai201311
政府税調が法人税改革の原案を提示。減税先行で財政再建が遅れる可能性も

 政府税制調査会は2014年5月16日、法人税課税の専門委員会において法人税改革 …

oecdguria
政府の意向を代弁したOECD事務局長。だが主張する内容は極めて客観的

 政府がOECD(経済協力開発機構)を活用した政策のアナウンスに乗りだしている。 …

airport
先進国と新興国の人材移動が活発に。グローバル時代の厳しい現実

 経済危機の長期化とグローバル経済の進展によって、先進国と新興国の間における人の …

zaikaitop
円安で株高になるのはおかしいという財界首脳の発言が象徴するもの

 経団連、日本商工会議所、経済同友会の経済3団体は2014年1月7日、年頭会見を …

Cambodia
最近のアジアへの移住ブーム。以前とはだいぶ様子が違ってきている

 アベノミクスが効果を上げてきていることから、日本の将来を楽観視する声も聞こえ始 …

euhonbu00
EUで銀行同盟成立に向けた第一歩がスタート。薄れていく加盟国の国家主権

 EU(欧州連合)は2013年12月20日、ユーロ圏内で銀行の破綻処理を一元化す …

Kennedy
駐日大使にケネディ元大統領の長女が就任。ただし外交や政治の経験はゼロ

 米国の主要メディアは4月1日、ルース駐日大使の後任として故ケネディ元大統領の長 …