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韓国の原子力産業に暗雲。相次ぐ原発トラブルと米韓交渉決裂で再処理も不可能に

 

 韓国で再び原子力発電所のトラブルが発生している。慶州市にある新月城原発1号機が4月23日、制御系統に故障が発生し発電を停止した。
 同原発は昨年8月に商業運転を開始したばかりの新型原発だが、試運転時に4回も故障したほか、商業運転開始からわずか19日で運転を停止した前歴がある(本誌記事「韓国での原発トラブルが止まらない」参照)。故障の原因は、炉心に挿入した燃料棒が滑り落ち、緊急停止装置が働いたためだが、今回の故障も同じシステムが原因とされている。昨年の事故を経ても、根本的な改善がなされていない可能性が指摘されている。

 韓国は電力インフラが十分でなく、需要が予想を超えて増大するとしばしば電力不足を起こす。しかも現在、新月城原発以外にも、故障や整備点検のため7基の原発が停止した状態にある。
 新月城原発は100万キロワット級と出力が大きく、同原発が停止してしまったことで、一気に電力需給が逼迫する事態となった。さらにタイミングの悪いことに、月城原発2号機も整備に入ったため、電力需給はさらに逼迫する可能性が高くなってきた。この状況はしばらく続く見通し。

 折しも韓国と米国は米韓原子力協定の改定に向けて交渉している真っ最中。米国は韓国を通じて核技術が流出することを懸念しているほか、韓国の原子力産業全体の技術力がまだ途上であることなどを理由に、韓国による使用済み核燃料の再処理とウラン濃縮を禁止している。
 韓国はこの禁止条項を撤廃すべく交渉を続けていたが、結局、現在の協定を2年間延長することに合意し、核燃料の再処理を断念した。

 この発表は新月城原発が停止した次の日に行われた。もちろん両者には直接的な関係はないが、同原発の故障は、米韓原子力協定交渉の結果を暗示するものとなってしまった。

 韓国では同協定によって自国で使用済み核燃料の処理ができない状態にある。2013年1月には、現時点で韓国内に溜まっている使用済み燃料を再処理するため、日本の六ヶ所村にある核燃料サイクル施設への委託を検討しているとの報道もあった(本誌記事「韓国から核燃料の再処理を受託との報道。原子力は核兵器の問題であるという理解が必要」参照)。韓国当局は報道を否定したが、米韓原子力協定の延長によって、再び核燃料の再処理問題が浮上する可能性が出てきた。

 一方日本側は、原子力政策自体が迷走している状況で、他国の使用済み燃料の処理について、自信を持って受け入れられる状況にはない。また六ヶ所村の施設もトラブルが続いており、予定通りの稼働が出来ていない状況だ。日韓の原子力をめぐる状況はますます複雑になってきている。

 - 政治, 社会

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