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イタリア大統領がレッタ氏を首相に指名。欧州市場は安定に向かう可能性が高くなってきた

 

 混迷するイタリアの政局に終止符が打たれる可能性が出てきた。退任予定だったナポリターノ大統領が各派からの要請を受けて大統領再任を受諾。大統領は4月24日、中道左派連合のエンリコ・レッタ民主党副書記長に組閣を要請した。レッタ氏は早速、大連立政権樹立に向けた協議を開始している。

 イタリアでは、EU主導の緊縮財政に国民の不満が爆発。財政再建を主導してきたモンティ首相が辞任を表明し総選挙となっていた。

 2月に実施された総選挙は、当初、モンティ首相率いる中道連合とベルサーニ民主党書記長率いる中道左派連合の争いになると思われた。だが、スキャンダルで引退していた「イタリアの暴れん坊」こと、ベルルスコーニ元首相が突然選挙戦に参戦。
 さらにコメディアン出身のグリッロ氏が既成政党打破を掲げ「五つ星運動」という新しい政党を樹立したことで大混乱となった(本誌記事「イタリア総選挙が大混乱。欧州危機が再燃するのか?それとも一時的なショックか?」参照)。

 結果はモンティ氏の大敗北となり、ベルルスコーニ氏とグリッロ氏が躍進。ベルサーニ氏率いる中道左派は得票数でトップになったものの過半数を獲得するには至らなかった。誰も主導権を取れる状況にはなく、政治的空白が懸念されていた。

 レッタ氏の立場はなかなか絶妙である。ベルサーニ氏率いる民主党のNo2だが、実はレッタ氏はベルルスコーニ氏の右腕ともいわれたジャンニ・レッタ氏の甥にあたり、ベルルスコーニ氏との関係も深い。また民主党内部では右派に属していることも、他党との対話を進めやすい条件のひとつとなっている。
 実際ベルルスコーニ氏はレッタ氏の首相就任を自分のことのように喜んでいるという。モンティ氏も連立に協力することを約束している。主要政党でレッタ氏を支持しないのは、グリッロ氏率いる「五つ星運動」だけとなり、組閣のハードルが一気に下がってきた。

 レッタ氏は世論を考慮し、緊縮一辺倒のEUの政策を批判してみせた。だがレッタ氏が本気で緊縮路線を180度展開すると見る向きは少ない。ある程度、緊縮策を緩和しつつ、一定の財政再建路線を堅持する可能性が高い。

 問題は連立内閣内部での意見の集約となるが、それほど大きなハードルではないといわれる。モンティ氏はもともと緊縮路線の推進論者であり、緊縮路線継続に文句はない。問題は緊縮路線を激しく批判しているベルルスコーニ氏だが、同氏の政界復帰は、自身が抱える数多くの訴訟を有利に進めることや、経営不振が伝えられる同氏所有の財閥へのテコ入れが真の目的といわれる。道義的問題はともかくとして、ベルルスコーニ氏の懐柔は容易と考えられる(本誌記事「イタリアの暴れん坊ベルルスコーニ元首相が「欧州危機はドイツの陰謀」と絶叫!」参照)。

 すでに市場では従来路線からの大きな変更はないとして、国債価格は上昇している。組閣が無事終了すれば、イタリアの政局が安定に向かう可能性は高く、欧州市場の混乱も収束するとの見方が広がってきている。

 - 政治

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