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ソニーが業績見通しを大幅上方修正。だが実態は不動産の売却益

 

 ソニーは4月25日、2012年度(2012年4月~2013年3月)の業績見通しを上方修正すると発表した。円安と株高によって収入が想定を上回ったためと説明しており、主要メディアの多くが同社の説明をそのまま報道した。
 だが修正内容を詳細に見ると、違った側面が見えてくる。円安と株高の影響も確かにあるが、資産売却による利益のかさ上げが含まれており、必ずしも本業が回復しているわけではないのだ。

 同社は2013年2月時点で業績見通しを売上高6兆6000億円、営業利益を1300億円としていた。
 だが今回の上方修正で売上高は6兆8000億円、営業利益は2300億円に引き上げた。円安で収益が改善したほか、株高で同社の金融事業(ソニー生命)の業績が向上したことが主な要因としている。

 だが業績改善の理由はほかにもある。同社が保有する不動産の売却益である。
 同社はこのところ自社が保有する不動産の売却を急ピッチで進めている。その中には、グローバル・カンパニーの象徴でもあったニューヨーク・マジソン・アベニューの本社ビルやソニーシティ大崎など、超優良物件が含まれている。両不動産とも1000億円以上の価値がある(本誌記事「REITが次々と物件取得を実施。インフレ期待からまだまだ上昇するのか?」参照)。

 同社の第3四半期までの累積営業利益はわずか800億円。修正前の通年見通しは1300億円と妥当な水準だったが、今回の上方修正では一気に2300億円になっている。いくら円安と株高が進んだからといって、過去9ヶ月分の利益の2倍にのぼる額をわずか3か月で達成するというのは無理がある。その秘密が不動産の売却益というわけである。

 本来、日本の会計基準では不動産の売却益は営業利益として計上することはできない。だが同社は米国基準を採用しているという理由で、営業利益の中に売却益を含めて表示している。前回までの1300億円という数字が本来の業績なのだとすると、ソニーが復活したとはとてもいえない状況である。

 米国基準といえば聞こえはいいが、ソニーはれっきとしたモノづくりのメーカーに回帰したはず。ソニーはいつから不動産会社になってしまったのだろうか?

 - 経済

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