ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

フランスやスペインで失業率がさらに悪化。緊縮路線はもう限界か?

 

 欧州の失業率がさらに悪化している。スペイン国家統計局4月25日に発表した第1四半期の失業率は27.2%となり、過去最悪の水準を更新した。若年層の失業率に至っては57%と壊滅的状況だ。

 フランス労働省も同日、3月の失業者数を発表している。それによるとフランスの失業者数は前月比1.2%増の322万5000人となり、1996年の統計開始以来、最悪となった。

 実はフランス労働省の調査はILO(国際労働機関)に準拠しておらず、失業率も公表されない。このため同省が発表する数値はあまり信用されていないのが実情。
 ただ、失業者数の増加を考えると、同国の失業率の数字も悪化している可能性が高い。ちなみにEUが発表したフランスの2月時点での失業率は10.8%となっている(本誌記事「あまりにも醜い欧州の若年層失業率。では日本はどうなんだ?」参照)。

 フランスでは失業者数増加に対する激しいデモが起こっており、一部では憲兵隊とデモ参加者が衝突する事態となっている。またスペインでも、緊縮財政に対する批判が日増しに高まっている。

 フランスやスペインでは、多くの人が、EUが各国に緊縮財政を強要していることで失業率が増加していると考えている。このため財政再建を強く主張するドイツや北欧諸国に対する反発が根強い。
 一方ドイツは、両国の失業率が高止まりしているのは、労働組合が強く、雇用に流動性がないからだとしている。実際、フランスやスペインでは正社員と非正規社員の待遇の差が激しく、正規社員はよほどのことがない限り解雇することができない。この影響で、若年層はほとんど就職ができない状態に陥っている。

 当初は好調な経済をバックに、ドイツが緊縮路線を主導してきたが、イタリアの政局混乱によってその状況に変化が生じている。フランスやスペインと同様、高い失業率(11.6%)に悩むイタリアでは、ドイツ主導の緊縮路線に国民が反発、モンティ首相が辞任する事態となった。
 その後の総選挙では、ユーロからの脱退を扇動的に主張する野党勢力が大幅に勢力を伸ばす結果となっている。最終的には、複数政党の連立内閣となる可能性が高く、ユーロ脱退というような過激な政策は回避される見込みだが、少なくともイタリアの新政権が緊縮路線の緩和を主張する可能性は高い(本誌記事「イタリア大統領がレッタ氏を首相に指名。欧州市場は安定に向かう可能性が高くなってきた」参照)。

 今回の失業率悪化やイタリアでの新政権樹立が、EUにおける緊縮路線に何らかの影響を与えるのはほぼ必至の状況となっている。

 - 政治, 経済

  関連記事

ippankyosho
オバマ政権の関心は経済しかない。一般教書演説から占う米中関係と日米関係

 米国のオバマ大統領は2014年1月28日、米議会において一般教書演説を行った。 …

sen15 00
過労?プレッシャー?中国空母艦載機の開発責任者が着艦成功直後に心臓発作で急死

 中国初の空母「遼寧」の艦載機開発プロジェクトの総責任者が、発の発着艦訓練に成功 …

panetta
パネッタ米国防長官が辞任の意向。次期オバマ政権では主要閣僚が総入れ替え

 米国防総省のパネッタ長官が、時期オバマ政権では長官に就任しない意向であることが …

pakucongress
日本を批判したとされる朴槿恵大統領の議会演説はどう解釈すべきか?

 訪米中の韓国の朴槿恵大統領は5月8日、上下両院の合同会議で演説した。前日のオバ …

okane
家計の金融資産は過去最高。ただ、株式シフトはすでにピークを過ぎた可能性も

 日銀は2014年9月18日、2014年4~6月期の資金循環統計を発表した。6月 …

obama20130303
米国で歳出の自動カットがスタート。オバマ大統領がこれを強行する真の狙い

 オバマ大統領は3月1日、米政府の財政支出を自動的にカットする大統領令に署名し、 …

puticshukinpei201405
中国がロシアから天然ガスを高価格で大量購入。ウクライナ問題でロシアが優位に?

 ロシアと中国が、天然ガス供給に関する大型の長期契約を締結した。ロシアはEUに代 …

abejosei
4~6月期のGDPは大幅マイナスの見込み。秋以降、政局流動化の可能性も

 来週に発表される4~6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は、大幅なマイナスに …

kokkaigijido
民意の反映に関するアンケート結果が示す、高齢者と若年層の分断

 内閣府が行った社会意識に関する調査で、国の政策に民意が反映されていると考えてい …

siniakigyou
起業希望者はバブル期に比べて半減。だが高齢者起業家は急増中

 起業を希望する人の数が年々減少し、2012年にはピーク時の約半分になったことが …