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シリアがサリン使用との情報は本物?。軍事介入をめぐる議会と大統領の駆け引きが激化

 

 米政府は4月25日、シリアのアサド政権が反政府勢力との戦闘において猛毒のサリンを使用した可能性があることを明らかにした。これを受けて議会からはアサド政権に対する軍事力の行使や反政府勢力への直接支援の声が高まる一方、オバマ大統領は慎重な姿勢を崩していない。
 アサド政権の化学兵器疑惑は、人道上の問題というよりも、米国内部の政治的な駆け引きの材料になりつつある。

 オバマ大統領はこれまで一貫してシリアに対する武力介入に慎重なスタンスを取ってきた。だが議会の一部勢力は、オバマ大統領のこうした姿勢を弱腰であると批判している。

 共和党の重鎮で、米上院軍事委員会に所属するマケイン議員らは4月24日、ホワイトハウスに対してアサド政権の化学兵器疑惑について、米政府の正式見解を尋ねる書簡を送付した。
 ホワイトハウスは翌25日、回答を行ったが、その中で、アサド政権がサリンを使用したことに関して「ある程度の確信」があるとした。

 米政府がアサド政権の化学兵器使用を公式に認めたのは初めてのことである。ただ、使用時期や具体的な実施状況は詳細には把握しておらず、対応策を決めるには「信頼に足る確固たる事実」が必要だとしている。

  二期目を迎えたオバマ大統領は、中東からアジアへの軍事力の大胆なシフトを実行しようとしている(リバランス戦略)。これには軍の大規模なリストラを伴うことや、中東の同盟国イスラエルとの関係などから、国内には反発の声も大きい(本誌記事「オバマ大統領が就任以来初めてイスラエルを訪問。イスラエルとの蜜月は終わりの始まり?」参照)。
 だがオバマ大統領は中東問題へのコミットを減らす方針を堅持しており、シリアに対しても、化学兵器を使用するといったレッドラインを超える事態にならなければ、軍事介入は行わないとしてきた。

 その背景には、アサド政権も自国に不利になるような行為は行わないだろうというオバマ大統領の読みがあったと思われる。だが今回、化学兵器の使用がほぼ明らかになったことで、その前提が崩れ去ってしまった。一部には、化学兵器使用という情報が、イラクの大量破壊兵器と同様、真実ではないとの噂も出ている。

 とりあえずオバマ大統領は、国連などの徹底した調査が必要との見解を強調しており、次のアクションはその結果待ちということになる。もっとも、オバマ大統領の介入に対する慎重姿勢はほとんど変化していないと言われており、仮に介入に踏み切るとしても、反体制派への軍事支援など間接的なものにとどまるとの見方が大半だ。

 - 政治

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