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米紙が金正恩ファミリーの海外隠し財産について報道。米朝交渉のための揺さぶりか?

 

 核問題をめぐる北朝鮮と米国の交渉が動き始めている。北朝鮮はケリー国務長官のアジア歴訪をきっかけにミサイル発射を事実上無期限延期し、対話の意思があることを間接的に示した(本誌記事「ケリー長官のアジア歴訪。カギとなったのはやはり中国との会談」参照)。
 米国のケリー国務長官は「核廃棄への具体的な行動を条件に、北朝鮮と接触する用意がある」と発言、これに対して北朝鮮は機関紙を通じて「米国は北朝鮮を核保有として処遇するよう求める」という声明を発表していた。

 米国は北朝鮮の核保有は認めないというスタンスを崩しておらず、表面的には両国の交渉は行き詰っているように見える。だが、これは交渉のスタート地点が見え始めたという意味でむしろ大きな前進といえる。

 北朝鮮はあくまで核保有国としての処遇にこだわっており、米国はそれを認めていない。つまり、翻訳すれば、どちらかが妥協する場合には、それなりの大きな見返りが必要という意味になる。交渉はここからスタートするわけである。

 交渉を次のステージに進めるためのジャブは米国側が繰り出した。米メディアは4月24日、北朝鮮の金正恩第一書記が多額の海外資産を保有していると報じた。金正恩氏とその家族は、スイス、オーストリア、ルクセンブルグなどに秘密口座を持っており、その総額は少なくとも10億ドルに達するという。
 また中国やロシアは北朝鮮に対して80億ドル以上の債権を保有しているが、両国はまだ北朝鮮に対して返済を求めていないという。

 米国の議会は、北朝鮮に対してより厳しい制裁を加えるための法案を準備している。新しい法案では、セカンダリーボイコットと呼ばれる条項が含まれる可能性が高い。同条項は、これまでイランに適用してきたもので、制裁対象を北朝鮮の関係企業だけでなく、その企業と取り引きする第3国の企業にも適用できるというもの。たとえば北朝鮮と取引のある中国企業が制裁対象となれば、その中国企業は米国で経済活動ができなくなる。

 米国の意図はただ一方的に制裁を加えることではない。経済制裁や金正恩ファミリーの財産について言及することで、北朝鮮を交渉のテーブルに引きずり出そうとしている。
 核保有の権利、経済制裁解除、金正恩ファミリーの財産保護や体制維持といったあたりの条件が最終的な落とし所になってくる可能性が高い。

 米朝交渉というディナーはまだ始まったばかりであり、これから紆余曲折が予想される。だが北による挑発行為という長い前菜の時間を経て、ようやくメインディッシュについて議論する段階まで進展してきたようである。

 - 政治

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