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尖閣は「核心的利益」との中国側発言は確信犯か勇み足か?

 

 中国外交部(外務省)の華春瑩報道官は4月26日、定例記者会見において、尖閣諸島は「中国にとって核心的利益だ」と発言した。中国政府関係者が公の場で「核心的利益」と認めたのは初めて。

 華報道官は会見で、米国のデンプシー統合参謀本部議長と会談した中国高官が尖閣諸島について「核心的利益」と発言したことに関して質問を受け、それに回答する形で「中国の領土主権に関わる問題であり、中国の核心的利益である」と発言した。

 中国はこれまで核心的利益という言葉は、チベット問題や台湾独立問題を表現する際に使用しており、場合によっては戦争も辞さないという意味になる。報道官の発言が中国政府の正式見解ということになると、領有権を主張することにとどめていた尖閣問題のステージが一気に格上げされたことになる。

 記者会見の内容に関する中国外務省の正式な発表では、中国国務院が発表したホワイトペーパーを引き合いに出し「国家主権、安全保障、領土保全を含めた核心的国益」との表現になっている。正式な発表文では、多少あいまいな表現になっていることを考えると、中国高官や華報道官の発言は勇み足であった可能性もある。

 中国は共産党による一党独裁の国であり、中国共産党は徹底的な文書主義で知られた組織である。従来であれば、党や政府の文書に示されている公式見解を逸脱する発言が幹部から出ることはほとんどあり得なかった。
 今回の一連の発言は、鉄の規律を誇った共産党支配にも緩みが出ていることの象徴なのか、確信犯的なものなのか定かではない。ただ尖閣問題をエスカレートさせる発言が出ることは憂慮すべき事態であり、党内規律の緩みが原因であるとすれば、偶発的な戦争の危機はむしろ高まっていることになる。

 尖閣問題については、中国側がどれほど戦略的で冷静なのか判断しかねる部分がある。党や政府内での統制が効かなくなっている可能性も含めて、日本側は慎重に対処する必要がありそうだ。
 ちなみに米国は「今回の発言を受けて米国のスタンスが変わることはない」(国務省のベントレル報道部長)との事務的なコメントを出している。

 - 政治

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