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米国で住宅価格が大幅上昇。実はアベノミクスの強力な助っ人に?

 

 米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は4月30日、2月のケース・シラー住宅価格指数を発表した。住宅価格は前年同月比で9.4%の大幅上昇となり、2006年5月以来の高い伸びとなった。住宅市場の回復がより鮮明になってきたことが裏付けられた。

 全米20都市を対象にした指数は149.8となり、対前月比では1.2%の上昇、対前年比では9.4%もの上昇となっている。
 対前月比で指数が上昇するのは13か月連続、対前年比での上昇も9か月連続となった。上昇幅は毎月拡大していることから、住宅市場は確実に回復してきている。

 都市別では、アリゾナ州フェニックス(対前年比23%上昇)、ネバダ州ラスベガス(17.6%)、ジョージア州アトランタ(16.6%)、ミシガン州デトロイト(15.2%)など、サブプライム危機よる住宅価格下落が激しかった地域の上昇が鮮明となっている。不良債権処理が順調に進み、市場が健全化しているサインといえる。

 米国の家計部門は約20兆ドル(約1960兆円)もの不動産を所有している。日本と異なり、米国の住宅用不動産は流動性の高い資産であり、住宅価格の上昇はダイレクトに個人消費を刺激する。今月は前年比で10%近い上昇となっているので、単純計算では1年で200兆円ほど米国人の資産が増えた計算になり、その1%が消費に回ったとしても2兆円の効果がある(本誌記事「米国ではなぜ自宅の不動産が超優良な資産となるのか?」参照)。

 米国経済はおおむね順調に推移しているが、個人消費に大きく依存する構造になっており、今年に入って個人消費が踊り場に差し掛かるとの観測も出ていた。
 だが、同日に発表された4月における消費者信頼感指数 は68.1と、前月の61.9から大きく上昇している。完全に楽観はできないが、株高や不動産価格の上昇によって、米国の景気が引き続き堅調に推移する可能性も出てきたといえる。

 米国の順調な景気回復の恩恵を誰よりも受けるのが日本である。中国のGDPが日本を追い抜いたことで、日本では中国が最大の市場であるとの論調が主流を占めている。だが現実はだいぶ違う。
 確かに2009年には、中国経済の発展によって、米国向け輸出と中国向け輸出が逆転した。だが米国経済の復活によって2012年には両者はほぼ拮抗した状態に戻っている。さらに、貿易収支という点でみれば、対中国は一貫して赤字、対米国は一貫して黒字である。
 しかも中国向け輸出品の多くは、中国内で組み立てが行われ、最終的に米国に輸出される。つまり日本の輸出産業は基本的に米国の消費に依存しているのだ(本誌記事「2月の貿易統計。赤字は8か月連続。米国向けの輸出だけが絶好調」参照)。

 異次元の量的緩和策は国内の消費にも徐々に効果を及ぼしてきている。だが、現実問題として、製造業の復活なしに日本経済を本格的な回復軌道に乗せることは難しい。金融緩和による効果だけではムリがあることは皆が承知している。アベノミクスの成否は米国の景気拡大にかかっていることを考えると、住宅価格上昇という朗報はアベノミクスにとって強力な助っ人といえよう。

 - 経済

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