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米中両国の製造業指数が示す、好調な個人消費と低調な製造業の綱引き

 

 米国と中国の製造業で冴えない指標が相次いでいる。米供給管理協会(ISM)が発表した4月の製造業景気指数は50.7と、前月の51.3から大幅に低下した。また、中国国家統計局が発表した4月の製造業購買担当者指数は50.6となり、先月から0.3ポイント低下した。両国とも先月からの下落は予想の範囲内だったが、下落幅はいずれも市場予想を上回った。

 これらの指数は50を上回ると景況の改善、下回ると景況の悪化を示している。
 米国の指数は2012年後半から50前後という低調な状態が続いていたが、2013年に入って数値の改善が見られるようになってきた。
 2013年2月には54.2まで上昇し、個人消費の拡大が米国企業の生産に波及しているとの見方が強くなっていた。だが3月、4月と低めの数値が出たことで、景気が踊り場に差し掛かっている可能性も出てきている。

 中国も同様で、2012年以降は51から53の間を行き来する状態が続いてきた。
 中国には国家統計局が発表する指標に加えて、香港上海銀行(HSBC)が取りまとめている指数もあり、こちらは主要国営企業以外の景況感も反映しているといわれる。
 HSBCの指標は50.5であり、こちらも3月の数値からは0.5ポイントの下落となっている。ただ2012年には50を切っていたことを考えると、相対的には持ち直している状況も伺える。

 中国の製造業は米国の製造業の影響を大きく受ける。日本から部品を輸出し、中国で半完成品として組み立てられ、米国で最終的製品になるというパターンが多い。このため中国と米国の指数は近い動きをすることが多い。中国の指標が総じて横ばいであることを考えると、米国の状況もまだ完全とはいえない状況なのかもしれない。

 米国は現在、好調な個人消費に対して低調な製造業という綱引き状態となっている。米国政府の歳出削減問題も重なり、第2四半期は景気が失速するとの見方が高まる一方、株価や住宅価格は絶好調で資産効果から消費拡大も見込まれている。

 少なくとも、今年前半までは米国の製造業の状況が劇的に改善する可能性は低い。だが、米国経済は総じて堅調であり、大きく崩れることはないとの見方が大半だ。中国も目標としている8%成長は達成できそうな状況となってきた(本誌記事「IMFがアジアの成長率見通しを公表。結局は中国頼みという構図が明らかに」参照)。
 2013年後半から2014年にかけての米中経済は、不安要素を抱えながらも、意外と堅調に推移するかもしれない。

 - 経済

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