ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

イタリアのレッタ新首相が就任早々独仏を訪問。とりあえずはイタリアの立場を説明

 

  イタリアのレッタ新首相は、就任早々ドイツとフランスを訪問し、従来の緊縮財政からの転換を各国を訴えている。

 イタリアでは、EU主導の緊縮財政に国民の不満が爆発。財政再建を主導してきたモンティ首相が辞任を表明し総選挙となっていた。
 だが総選挙はタレント候補が新政党を結成するなど大混乱となり、結局、左右両派を統合した連立政権となった。
 連立政権を構成する主要政党は、何らかの形で緊縮財政の見直しを訴えており、首相に選出されたレッタ氏は、緊縮財政からの路線転換を各国に説明する必要に迫られていた(本誌記事「イタリア大統領がレッタを首相に指名。欧州市場は安定に向かう可能性が高くなってきた」参照)。

 レッタ氏はまず4月30日にドイツを訪問、ベルリンでメルケル独首相と会談した。この中でレッタ氏は「健全な財政運営と同様に成長促進に注力する必要がある」との考えを示した。これに対してメルケル氏は「財政再建と成長は相反するものではない」と発言し、レッタ氏に対し一定の理解を示した。だがこの見解は従来のドイツの主張を繰り返したに過ぎず、財政再建を後回しにしてもよいという意味ではない。とりあえずはイタリアとドイツが対立するイメージを回避した格好だ。

 続いてレッタ氏はフランスを訪問し、オランド大統領と会談した。レッタ氏は成長促進に主眼を置く方針を説明し、オランド氏もこれに理解を示した。フランスはイタリアと同様、経済の長期低迷と高い失業率に悩まされており、国民の不満が高まっている。オランド大統領としては、イタリアと歩調を合わせてドイツに政策転換を迫り、財政再建を後回しにしたいとの思惑がある。

 レッタ氏は、不動産税徴収の停止や付加価値税増税の撤廃など、緊縮財政の撤廃策をいくつか表明している。だが増税の中止による歳入不足については、財源をどう手当てするのか明らかにしていない。
 今回の訪問でレッタ氏はとりあえずフランスの支持は取り付けた格好だ。だが、ドイツが急に財政再建の放棄を容認するとは考えにくく、最終的には緊縮路線を継続しながら、部分的に緊縮の緩和策を導入する方向に落ち着く可能性が高い。少なくとも欧州の株式市場では、基本路線に大きな変動はないと判断しており、政局の混乱が収束したことの方をプラス評価として捉えている。

 ただ、これまではドイツの圧倒的なリーダーシップによって徹底した緊縮財政が求められてきたが、その潮流に変化が出てくる可能性も見え始めた。短期的には欧州リスクが後退するかもしれないが、欧州が抱える根本的な問題の解決はさらに遠のいたかもしれない。

 - 政治, 経済

  関連記事

chansonteku
粛正された北朝鮮No2チャン・ソンテク氏の連行場面は、わざわざ撮影された?

 北朝鮮のナンバー2であった張成沢(チャンソンテク)国防委員会副委員長が粛正され …

canonfactory
キヤノンの国内生産回帰は評価すべきだが、雇用の増加につながるわけではない

 キヤノンは2015年までに自社製品の国内生産比率を現在の42%から50%へ引き …

imfjapan
IMFの年次報告書で消費税は15%が望ましいと主張している理由

 IMF(国際通貨基金)は8月5日、日本経済に関する2013年度の年次報告書を発 …

fcatokai
日本がとうとう核物質の米国返還を決定。日米関係は根本的に変わった

 日米両政府は2014年3月24日、核物質の最小化に関する日米の共同声明を発表し …

newyork02
それほど悪くなった米国の7~9月期GDP。利上げは可能との判断が増える

 米商務省は2015年10月29日、2015年7~9月期のGDP(国内総生産)速 …

furusatonozei
ようやく聞こえてきた、ふるさと納税制度に対する自治体からの異論

 ふるさと納税に対する異論が一部の自治体から出始めている。今のところ、税収が減っ …

no image
Amazon課税包囲網が完成。だが日本の出版業界は暗い顔。その真意とは?

 米国カリフォルニア州において、インターネット小売業者(Amazonがターゲット …

rio
変わるカトリック教会。ブラジルではプロテスタントに対抗して現代マーケティング手法を導入

 カトリック教会のフランシスコ新法王が就任して4カ月が経過した。性的虐待問題やマ …

bouekitoukei201311
日本の貿易赤字がさらに拡大。だがその主な原因は原発停止ではない

 財務省は12月18日、11月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた …

toshiba03
もはや制御不能。東芝が米国原子力事業で再び巨額損失。債務超過の可能性も

 経営再建中の東芝は2016年12月27日、米国原子力事業において数千億円規模の …