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失業率の悪化で国民の不満が爆発。欧州で緊縮策の一時棚上げが急浮上

 

 景気低迷と失業率の低下に歯止めがかからない欧州で、緊縮策を一時棚上げし、景気対策を優先する動きが急浮上してきた。
 欧州州中央銀行(ECB)は2日、政策金利を0.25%引き下げ過去最低の0.5%にすることを決定した。利下げを行うのは10カ月ぶりとなる。きっかけとなったのは歯止めのきかない失業率の悪化。

 4月30日に発表された欧州連合(EU)の失業率は12.1%と過去最悪の数値となった。国別ではスペインが26.7%、フランスは11%となり、いずれも過去最悪の数値を更新した。イタリアも11.5%と横ばいが続いており、失業率の低下に歯止めがかからない状況だ(本誌記事「フランスやスペインで失業率がさらに悪化。緊縮路線はもう限界か?」参照)。

 一方、ドイツは6.4%、オランダは6.4%と安定した推移となっており、北部プロテスタント圏と南部カトリック圏の格差は拡大する一方となっている。ECBではこれ以上、状況を悪化させないことが重要と判断し、利下げに踏み切った。

 EUのファンロンパイ大統領は2日、地域が財政緊縮策に疲弊していることを受けて「成長を促進するための行動をとらなければならない」と述べた。これは前日にイタリアのレッタ新首相と会談したことを受けての発言。レッタ首相は、緊縮を優先する現在の政策を転換する方針を表明し、EUの理解を求めた。ファンロンパイ氏は財政規律を維持すべきとの条件付きだが、イタリアの取り組みを支持する意向を表明していた。フランスのオランド大統領も失業率の悪化と支持率低下に悩んでおり、緊縮財政からの転換を図りたい意向だ。

 問題となるのは、ドイツや北欧といった経済が好調で失業率が低い国々の反応だ。ドイツや北欧諸国は、南欧諸国の経済停滞と失業率の悪化は、硬直化した労働市場や規制緩和の遅れが原因と考えている。経済を成長軌道に乗せるには構造改革が必須というスタンスだ。
 レッタ氏と会談したドイツのメルケル首相は、とりあえずイタリアの姿勢に一定の理解を示し、直接的な反対意見は述べなかったが、今後対立が表面化してくる可能性もある(本誌記事「イタリアのレッタ新首相が就任早々独仏を訪問。とりあえずはイタリアの立場を説明」参照)。

 もっともドイツも秋には総選挙を控えており、メルケル政権は必ずしも盤石ではないともいわれる。ドイツ国内では格差問題が議論されており、ドイツ側も対外的に強硬な路線を貫けるかは微妙な状況だ。

 欧州が完全に緊縮策を放棄することは考えにくいが、今後しばらくの間、金融緩和的な政策を継続する可能性が高くなってきた。米国も第2四半期は景気が多少足踏み状態となっており、FRB(連邦準備制度理事会)の出口戦略が来年以降になるとの観測も出てきている。
 ドル安、ユーロ安という条件が揃っており、日本円に対する買い圧力が強まる可能性がある。場合によっては、日銀による量的緩和策の効果が相殺されることになるかもしれない。

 - 政治, 経済

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