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日本もこうなる?英国の失業者が受講する心理テスト。内容は自己啓発セミナー真っ青

 

 生活保護や失業保険の削減など、一連の社会保障制度改革を行っている英国で、失業者の意識改革や職業訓練のあり方をめぐって大きな議論が沸き起こっている。

 キャメロン首相が進める社会保障制度改革は、基本的に受給者の自助努力を促すことを目的としている。
 日本と同様、英国においても、生活保護や失業保険の受給者が、場合によっては最低賃金労働者よりも豊かになるという状況があり、国民からの批判が高まっていた。新しい制度では、この状態を解消することを念頭に置いている。

 例えば新しい制度では、失業保険の受給者に対して、ネット上で質問に答えて自分の強みを発見する心理テストの受験を勧めている。それは失業保険に頼らず、自ら能動的に仕事を探すメンタリティの育成を目的としたものだ。だがその内容をめぐっては多くの批判も寄せられているという。

 強み発見の心理テストは、48の質問で構成され、回答には約10分間を要する。すべての質問に回答すると、結果と簡単なアドバイスが表示され、電子メールのアドレスを書き込むと、専門のカウンセラーとのやりとりも可能となる。
 肝心の中身だが、確かに少々微妙である。一例をあげると「あたなは世の中に対して常に好奇心を持っていますか?」「新しいことを学ぶことに感激を覚えますか?」「美術館や博物館によく行きますか?」「新しいことを考えるのが好きですか?」といった具合だ。
 要するに前向きで何事にも興味を持ち、積極的に取り組まないとダメですよ、という話である。聞きようによっては、どこかの自己啓発セミナーと同じになってしまう。

 雇用年金省では、失業保険の給付水準を減らすには、最終的に労働者のメンタリティが重要であり、このような心理テストやカウンセリングは有効であるとの立場だ。確かに求人があるのに働かない人は心理的な影響が大きいというのは事実であろう。そのような状態の失業者に対して一方的に給付額を減らしてしまえばホームレスを増やすだけだという主張も納得できないことはない。

 一方、こういった施策に対しては、価値観や生き方などを間接的に強要することになると懸念を抱く人もいる。このようなテストを受け、誘導尋問的に「私は前向きです」と言わないと手当をもらえないというのも確かに奇異な印象を受ける。
 北欧でも失業者には職業訓練を義務づける制度があり、一定の成果は上がっている。だが失業保険をもらうためだけに、無意味に職業訓練の受講を繰り返す失業者も後を絶たないという。

 日本の財政状況は欧州よりも厳しく、失業保険や生活保護の削減は政治的にも避けられない状況にある。一部からは欧州型の職業訓練をセットにした給付の案も提言されているが、英国や北欧の例を見ると、実際に効果のある施策を行うのは思いのほか難しいようだ。
 自助努力のあり方をどうするべきなのか、日本でもそろそろ本格的に議論した方がよさそうである。

 - 政治, 社会

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