ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

EUが経済成長見通しを下方修正。緊縮財政は事実上棚上げか?

 

 EU(欧州連合)の欧州委員会は5月3日、2013年春の欧州経済見通しを発表した。ユーロ圏の実質GDPは前回の予想から下方修正され、マイナス0.4%となることが明らかとなった。これによって財政赤字の削減はさらに遅れることになる。

 2013年のユーロ圏の実質GDP成長率は2月時点の予測から0.1ポイント減少しマイナス0.4%となった。EU全体でもマイナス0.1%となっており、欧州全域でマイナス成長となっている。

 主要国では、フランスとイタリアがマイナス成長となっている(フランスの成長率はマイナス0.1%、イタリアの成長率はマイナス1.3%)。
 両国は失業率の増加に悩まされており、マイナス成長となるのは予想の範囲内であった。だがこれまで比較的好調であった欧州北部のプロテスタント圏の成長にも鈍化の兆しが見え始めており、景気減速が欧州全体に波及してきている。

 ドイツの成長率は0.4%とかろうじてプラス成長となったが、前回見通しからは0.1ポイントの下方修正となった。またオランダはマイナス0.8%になるとの予測だ。過剰な債務を抱え、構造改革が進まない南欧カトリック圏を、北部プロテスタント圏が支えるという欧州の基本的な図式が崩れつつある。

 経済危機を起こしている国では、スペインがマイナス1.5%、ギリシャがマイナス4.2%、キプロスがマイナス8.7%となった。ただしキプロスを除けば、2014年にはプラス成長に転じるとしている。

 欧州経済の深刻な状況を受けて、欧州中央銀行(ECB)ではすでに、政策金利を0.25%引き下げ過去最低の0.5%にすることを決定している。
 EUのファンロンパイ大統領は2日、「成長を促進するための行動をとらなければならない」と述べ、財政緊縮策の見直しに言及した。すでにイタリアでは新しく首相に就任したレッタ氏が緊縮財政の見直しを表明しているほか、フランスのオランド大統領もレッタ氏を支持する発言を行っている。

 高まる失業率を背景に、各国では国民の不満が爆発しており、目先の経済対策を行わないと政権維持が困難な状態になりつつある(本誌記事「失業率の悪化で国民の不満が爆発。欧州で緊縮策の一時棚上げが急浮上」参照)。
 EUでは引き続き、財政再建や構造改革が重要との立場を崩していないが、各国にはそれを受け入れる余裕はなくなっている。失業率は年の後半にはさらに悪化する可能性が高く、緊縮策は緩和される可能性が高くなってきた。EUはすでにフランスに対する財政再建の目標期間を2年延長する方針を明らかにしている。

 2014年のユーロ圏の成長率見通しは0.2ポイント引き下げ1.2%とした。ただこのままの状態が続くようであれば、この数値もさらに下振れするかもしれない。

 - 経済

  関連記事

motegi
訪米した茂木経産相が電力会社主導の新しい原発安全対策組織の設立を表明

 連休中にアメリカを訪問した茂木経済産業大臣は5月3日、ワシントンでポネマン米エ …

london02
EU離脱の国民投票が終了。結果がどうなるにせよ英国にとってメリットは少ない

 EU(欧州連合)からの離脱の是非を問う英国の国民投票が終了した。大勢は24日の …

doruen
欧米の国債利回りが急低下。実は日銀による外債購入まで織り込まれている?

 日銀の量的緩和拡大が欧米の債権市場に大きな影響を与えている。政策決定会合が行わ …

abekaisan20141113
7~9月期のGDPは予想通り思わしくない可能性が大。増税スキップは政治判断へ

 11月17日に発表される7~9月期の実質GDPの数字が思わしくない可能性がさら …

google2014
グーグル2015年1Q決算は、成長鈍化で投資先行。ロボットなどが収益に貢献するのはまだ先

 米グーグルは2015年4月23日、2015年1~3月期の決算を発表した。主力の …

apple2016q3
iPhoneを特別視しているのはもはや日本人だけ。IT業界で進むコモディティ化の波

 米国のITビジネスが大きな転換点を迎えようとしている。米アップルの決算は2四半 …

yukashi03
このタイミングでアブラハム社が行政処分となった背景は何か?

 証券取引等監視委員会が投資助言会社アブラハム・プライベートバンクを行政処分する …

doruen201505
ドルの調達コストが急上昇。日本は外貨での運用もできなくなりつつある

 日本の機関投資家が、資金を運用したくても運用する先がないという問題に直面し、悲 …

girishagikai
ギリシャの国民投票は緊縮策にNo。約束手形の発行となれば、事実上のドラクマ復活?

 IMF(国際通貨基金)など国際機関に対する支払いができない状態にあるギリシャで …

setsubitousi
7~9月期GDPは事前の予想通り2期連続のマイナス。だが補正の議論は盛り上がらず

 内閣府は2015年11月16日、2015年7~9月期のGDP(国内総生産)速報 …