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英国でEU離脱を主張する政党が大躍進。EU問題が再び炎上か?

 

 英国でEU離脱をめぐる動きが再び活発化している。5月2日に統一地方選挙が実施され、移民反対や欧州連合(EU)からの離脱を主張する右派政党・英国独立党(UKIP)が8議席から147議席と大躍進した。独立党のファラージュ党首は「政府も国民の声を無視することはできない」と述べ、EU離脱に向けて具体的な動きを進めるべきとの考えを表明した。

 キャメロン首相率いる保守党は大敗北となり、過半数を握る地方議会の数は選挙前の28から18に大幅に減少した。選挙前には1451あった議席数も1100に減らしている。連立与党の自由民主党は124議席減らし352議席となった。
 野党労働党は291議席増やし538議席となったが、保守党や自民党が失った票の多くは、独立党に流れた可能性が高く、労働党も手放しでは喜べない状況となっている。

 英国ではかなり以前からEU脱退論が議論されてきたが、ほとんどの英国人は実際にはEUに肯定的といわれていた。だが一部の保守的な層は、移民増加などに激しく反発しており、これが現政権に対する不信感にもつながっている。キャメロン首相は、この問題に決着をつけるため、2014年に実施される総選挙で保守党が政権を維持した場合という条件付きで、EU残留を問う国民投票を実施すると確約した。

 EU残留は英国人の総意という前提で政治的駆け引きに出た格好だが、今回の独立党の躍進でその状況が危うくなってきている。ひょっとすると本当にEU残留に対して英国人がノーを突きつける可能性が出てきたのである(本誌記事「英キャメロン首相がEU脱退の国民投票実施を宣言。駆け引きにしては危険すぎるとの声も」参照)。

 キャメロン首相は、独立党について「奇人変人」「人種差別主義者」とかなり露骨な批判をしてきたが、今回の選挙結果をうけて「国民の声を反映した政党である」と前言を撤回している。

 市場では、今回の動きが即、英国のEU離脱につながるとは考えておらず、特に目立った反応はない。だが英国における政治的なリスクが高まったことは事実である。もしEUへの残留を決めるにしても、EUに対してより多くを要求しなければ、EUに懐疑的な国民を納得させることは難しいだろう。

 EUは北部(ドイツ)と南部(フランス)の利益相反に加えて英国をどう位置づけるかという難題を抱えている。今回の英国の政治情勢の変化は、EU内部における各国の利益相反をさらに拡大させることになるだろう。

 - 政治

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