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イスラエルがシリアを再び空爆。動かないオバマ政権と中東介入を狙う中国の思惑

 

 イスラエル空軍は5月5日、シリアの首都ダマスカス郊外にあるシリア政府の軍事施設への空爆を行った。イスラエル政府は空爆について正式に認めていないが、ほぼ公然の事実となっている。イスラエルがシリア領内で攻撃を行うのは今年に入って3回目となる。

 イスラエルがシリアに対して攻撃を行うのは、シリアに対してというよりも、その背後にいるイランや米国に対するメッセージという意味合いが強い。
 特に米国のオバマ政権は中東問題への関与に否定的なスタンスを崩しておらず、イスラエルとしては何としても米国を引っ張り出したいというのが本音である。

 オバマ大統領は中東の軍事力を削減し、アジア太平地域に再配分する、いわゆるリバランス戦略を進めている。リバランス戦略の要となる国防長官には、イスラエルと距離を置くヘーゲル氏を据えるなど、オバマ政権はイスラエルに対してかなり冷淡である。

 イランに対して強硬的なスタンスを取りたいイスラエルや、中東の軍事的緊張が利益になる一部の軍需企業などはシリア問題に米国が介入するようオバマ政権に対して働きかけを行っている。だがオバマ大統領は、シリアが化学兵器を使用したとの疑惑が持ち上がっても「明確な証拠が出るまでは行動に移すことない」と慎重な構えを崩していない。

 この問題をさらに複雑にしているのが、中国の存在である。中国はオバマ政権が中東問題に消極的であることを利用して中東問題への発言力を高めようと画策している。
 中国政府はイスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長を同じタイミングで中国に招待した。習近平国家主席は6日、パレスチナのアッバス大統領と人民大会堂で会談し、パレスチナ問題や中東問題について協議を行った。またネタニヤフ首相も上海入りしており、今週中に北京で習氏と会談する予定だ。
 中国は場合によっては双方の仲介役となることを考えているが、現在のところは「イスラエルとの会談予定はない」(アッバス議長)という。中国は機関誌などを通じて、両国がこのタイミングで訪中することは、中東問題における中国の発言力が大きいことの表れであると自己宣伝している。

 ネタニヤフ氏が空爆の最中に訪中していることを考えると、イスラエル側はシリアからの本格的な報復攻撃は想定しない可能性が高い。もしシリア側から目立った報復がない場合には、イランとアメリカを見据えたイスラエルによる神経戦が当分続くことになる。

 - 政治

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