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朴槿恵大統領とオバマ大統領が初会談。双方に警戒感があり、様子見に終始

 

 訪米中の韓国の朴槿恵大統領は5月7日、ホワイトハウスでオバマ米大統領と初の首脳会談を行った。最重要課題である北朝鮮問題に対しては共同で対処していく方針を確認したが、米国側は朴新政権の方向性を完全には掴み切れておらず、とりあえずは両首脳の個人的関係を構築するという様子見の会談となった。

 首脳会談は7日の午前から昼食を挟んで行われた。午後に行われた共同記者会見でオバマ大統領は「北朝鮮はすでに孤立しており、危機を煽って譲歩を引き出す時代は終わった」と述べ、北朝鮮の恫喝外交を非難した。その上で朝鮮半島の非核化を行い、北朝鮮はミャンマーのようになるべきであると強調した。

 一方朴槿恵大統領は、北朝鮮の挑発を容認しない姿勢を明確にする一方、自身が提唱してきた対話や人道支援を通じて南北間の信頼構築を目指す「朝鮮半島信頼プロセス」の実行も含めて「米韓共同で問題解決の努力を行う」とした。

 北朝鮮問題に対して共同で対処するという方針では一致しているものの、米韓両国には微妙なスタンスの違いが見られる。
 米国は朝鮮半島の非核化が最重要課題であり、その上で、北朝鮮の経済開放を求めている。基本的には米朝の直接交渉で事態を打開したい考えだ。一方韓国側は「朝鮮半島信頼プロセス」という朴槿恵政権独自の対話路線も念頭に置いている。

 朴槿恵氏は、かつての軍事独裁政権下の大統領・朴正熙氏の娘である。朴正熙氏は旧日本軍との関係も深く、朴槿恵氏には日本統治下の人脈も含めて独自の北朝鮮ルートがある。米国側は、朴槿恵氏について、李明博前大統領とは異なり、理論家ではなく現実主義者として理解している。このため、独自の外交的動きが出ることを警戒している。

 また米国が強くこだわっているのは、朝鮮半島の非核化であって、北朝鮮の非核化ではない。米国と韓国は現在、米韓原子力協定の改定をめぐって対立している。米国は核技術が韓国を経由して流出する事を警戒しており、韓国が独自にウラン濃縮や核燃料の再処理を実施することを望んでいない。結局、米韓首脳会談に悪影響を与えることを憂慮した韓国側が折れ、協定は現行のまま2年間延長されることになった(本誌記事「韓国の原子力産業に暗雲。相次ぐ原発トラブルと米韓交渉決裂で再処理も不可能に」参照)。
 韓国も含めて、核開発を一切封じ込め、北朝鮮の経済開放を主導したい米国と、独自の対話路線と核開発を進めたい韓国で微妙な利害の対立があるのだ。

 今回の首脳会談は、両国の方向性の違いが表面化しないよう、無難な範囲での意見交換に終始した模様。米国はすでに北朝鮮との独自交渉を始めている可能性もあり、今後は、北朝鮮の核問題をめぐって、韓国も含めた水面下での交渉が激しくなってくるだろう。

 - 政治

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