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米国防総省が発表した中国軍に関する年次報告書。中国側が激しく反発する理由とは?

 

 米国防総省は5月6日、中国の軍事力に関する年次報告書を発表した。この中で国防総省は、中国は軍の近代化を急ピッチで進めており、最新兵器に多額の投資を行っていると指摘。中国の軍備拡大傾向について懸念を表明した。また中国は米国に対してサイバー攻撃をしかけているとし、いくつかのケースでは中国政府や軍の組織が直接関与していると主張した。

 中国は公式には1140億ドル(約11兆円)の軍事費を支出しており、前年比で約10%の増加となっている。だが報告書では、実際の中国の軍事費は最大でこの2倍程度の規模があるとしており、弾道ミサイル、巡航ミサイル、宇宙兵器、サイバー兵器になどに対する積極的な投資を行っているという。

 また報告書では、中国はここ1年の間に海洋権益について強く主張するようになっており、東シナ海と南シナ海において、周辺各国と領有権問題を引き起こしていると主張。米国は領有権についてどの国の立場にも立たないとしながらも、中国が関係各国と平和的に問題を解決するよう促した。

 米国は以前から中国の軍備拡張について、透明性の欠如という形で間接的な懸念を表明してきた。だが今回の報告書は、サイバー攻撃や領有権問題など、中国に対する具体的な懸念材料をより強調した形となっている。

 中国は今回の年次報告書に強く反発しており、中国外交部(外務省)の華春瑩報道官は「米国がこのような報告を発表し、中国脅威論を喧伝することに断固反対する」と発言、米側に抗議したことを明らかにした。

 中国外務省のこうした激しい反応は、米国よりも中国内部を意識している可能性がある。報告書でも指摘している通り、中国の国際的な振る舞いについては、中国国内でも議論が分かれている。
 かつて中国の最高指導者であった鄧小平氏は、改革開放路線を最優先させるため、むやみな覇権主義を採用しないことを基本路線としていた。
 現在でも中国は覇権主義はとらないと表面上は明言しており、鄧小平路線を堅持している。だが国内には、世界に対してより強く覇権を求めるべきとの主張も強くなってきており、対外協調的な外務省も、中国内部の政治的意向を無視できなくなっている可能性がある。

 少なくとも、今回の中国側の反応によって、南シナ海と東シナ海の海洋権益が中国にとって譲れない一線であることが、さらに明確になったといえる。

 - 政治

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