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首相がアベノミクスへの懸念について見解を表明。あと半年で円安効果が出るというが・・

 

 安倍首相は5月7日の参院予算委員会の集中審議に出席し、貿易赤字やインフレなど、アベノミクスへの懸念に対する自身の見解を明らかにした。

 安倍氏は答弁の中で、円安が進んでいるにも関わらず貿易赤字が拡大していることについて触れ「円安と原発停止で原油や天然ガスの輸入が増えたことが貿易赤字拡大の原因」との認識を示した。
 その上で「円安効果で輸出が増加するまでには時差がある。半年から1年後にはプラスに転じ、貿易収支も黒字になっていく」との見通しを示した。

 またインフレと賃金については「賃金が上昇することが重要」と述べ、事業者に対して引き続き賃上げを促すとともに、「賃金上昇率がインフレ率を上回るように努力したい」との考えを強調した。

 物価高という円安のデメリットが先に表面化し、メリットがなかなか享受できないことについては、いわゆるJカーブ効果で説明されることが多い。Jカーブ効果とは、為替レートが変動した際、効果が表れるまでにはタイムラグが生じる現象のことを指す。グラフがJの形を描くようにして効果が表れることからその名が付いた。
 Jカーブ効果の理論によれば、円安によって価格競争力が付き、輸出の数量が増えるまでには時間がかかるが、やがて輸出が増え貿易赤字も一段落することになる。

  半年から1年後にプラスに転じるという安倍氏の説明は、内閣府の試算がベースになっていると思われる。安倍氏が意図した上で発言しているかは不明だが、内閣府の試算は、あくまで現状の経済環境が維持されることを前提としたものである。しかも赤字額が縮小することを効果と定義しており、貿易黒字になることまでは想定していない。円安がさらに進展する事態となれば、常に輸入物価が先に上昇することになり、永久にJカーブ効果は表れないことになる。

 さらに足下では良くない兆候が出ている。3月の貿易統計では、輸出金額が対前年比で1.1%の増加となったものの、数量ベースでは9.8%のマイナスとなっているのだ。為替が円安になっているにも関わらず、数量の減少が止まらないということは、日本製品そのものの競争力低下が示唆される。
 もしそうなっているのだとすると、為替に関わらず貿易赤字は縮小しないことになり、Jカーブ効果という前提そのものが崩れてしまう(本誌記事「円安なのに輸出が増えない!Jカーブ効果というが本当なのか?」参照)。

 長期国債を大量購入すれば物価目標は比較的容易に実現可能である。だが経済成長を伴った物価上昇を実現するためには、金融政策だけでは不十分である。答弁において安倍氏も触れている通り、「成長戦略をしっかりと前に進めていくこと」が何よりも重要である。

 - 経済

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