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トヨタの好決算は円安の影響ではない。海外生産、海外販売へのシフトが利益の源泉

 

 トヨタ自動車は5月8日、2013年3月期決算を発表した。売上高は前年比18.7%増の22兆642億円、営業利益は前年比3.7倍の1兆3208億円の好決算となった。
 また2014年の業績見通しについては、売上高23兆5000億円、営業利益1兆8000億円とし、リーマンショック以前の水準を視野に入れ始めた。

 各メディアの見出しでは「円安効果によってトヨタ増益」といった論調になっているが、決算内容を細かく見ると、むしろ逆の実態が浮かび上がってくる。

 今期決算の営業利益増加分のうち、円安効果が占める割合はわずか12%、50%が販売贈によるもので、残りが原価低減である。今回トヨタが好決算になったのは、円安の影響ではなく、純粋に販売が好調だったからである。

 今期の同社における総販売台数は887万台で昨年よりも2割増加した。このうち、国内販売はわずか228万台で659万台はすべて海外での販売となっている。この傾向は今に始まったことではないが、トヨタはもはや日本でメシを食う会社ではなくなっている。
 ちなみに販売台数の増加割合は、国内が10%強なのに対し、北米が32%増、アジアが27%増となっており、特に米国市場の販売が好調であることがうかがえる。良好な決算は堅調な米国市場が牽引しているといってよい。

 同社は海外販売の増加に合わせて生産拠点の海外移転も進めている。現在、国内生産と海外生産の比率は50対50となっている。4月には高級車レクサスの生産を米国ケンタッキー工場に移管すると発表したばかり。今後、国内生産の割合が低下することはあっても、大幅に増加することはないだろう。

 同社の豊田章男社長は、折に触れ「国内生産を何としても維持する」といった発言を繰り返しているが、これは国内世論に配慮したものでトヨタとしての本音ではない。確かに生産拠点が海外に移転すれば、地域の雇用は失われるかもしれない。だが、グローバル化に成功し、為替の影響を受けることなく常に高い利益を確保できるトヨタのような存在は、日本経済にとってむしろメリットである。

 トヨタのような会社が増えてくれば、海外現地法人からの配当(所得収支)が増加し、日本の経常収支に貢献する。すでに日本の経常収支は輸出ではなく、海外からの利子や配当に依存する形になっており、それは時代の流れである。

 トヨタにはその閉鎖的な社風や利益至上主義に対する批判も根強い。だが同社は、今も昔も、日本の製造業のモデルケースといってよい存在である。

 - 経済

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