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中国がとうとう沖縄の領有権まで主張?。米国への危険なラブコールか?

 

 中国共産党の機関紙である人民日報は5月8日、「沖縄の領有権についてはまだ解決していない」と主張する論文を掲載した。論文は学者名で掲載されているものの、中国が沖縄の領有権について触れたのは初めてであり、大きな波紋を呼んでいる。

 人民日報の論文では、沖縄(琉球)について、明や清の時代には中国の冊封(さくほう)を受けており、中国の属国であったと指摘。日清戦争後に締結された下関条約では、当時の清王朝には琉球問題を取り上げる力はなく、台湾と尖閣を含む諸島、沖縄は日本によって力で奪い取られたと主張している。

 冊封とは中国王朝が周辺の国に対して行っていた外交政策で、王としての称号や統治権を認める代わりに中国と主従関係を結ぶというもの。琉球王朝は明や清から冊封を受け中国の支配下に入っていたが、江戸時代には日本の薩摩藩の配下に入った(だだし中国からの冊封は受け続けていた)。明治政府は正式に琉球を日本と定め、沖縄県を設置、太平洋戦争後の米国統治を挟んで現在に至っている。

 論文では領有権が中国にあるとは明確に書いていないが、「未解決だった琉球問題について議論すべき時が到来した」との記述は、地政学の世界では、中国が沖縄の領有権について主張したことと同じになる。
 
法的にも実効支配という面でも沖縄が日本の領土であることは明白であり、中国もそのことはよく承知している。それにもかかわらず、中国がこのような主張を展開したのは、日本というよりも、むしろ米国に対する牽制球と考えた方がよいだろう。
 米国は尖閣諸島の領有権について、日中どちらの立場にも立たないという主張を繰り返している。だが中国が沖縄に対する領有権を主張した場合には、話は変わってくる。米軍における沖縄の役割は近年著しく低下しているとはいえ、現在でも沖縄は米軍の最前線基地であることに変わりはない(本誌記事「米国がシンガポールに最新鋭艦を配備。その地政学的意味とは?」参照)。つまり米中関係にとって沖縄は地政学的に極めて重要な場所なのである。1972年の米中国交回復のきっかけとなったのも、沖縄に配備している核兵器の撤収であった。

 中国はこのところ、米国に対して、領有権問題に関して中国側に配慮した発言をするよう要請している(本誌記事「崔天凱駐米中国大使が、尖閣問題で中国寄りの対応をするよう米国に要請」参照)。米国としては看過できない一線である沖縄に言及することで、米側の譲歩を引き出そうという少々危険なゲームといえる。

 尖閣諸島と異なり、沖縄の実行支配権は、今のところまったく脅かされる心配はない。とりあえず日本としてはまともに相手をせず、静観でよいのではないか?

 - 政治

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