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政府救済のルネサス決算。1万人のリストラは決めたが、事業面の進捗はゼロ

 

 経営危機が表面化し、産業革新機構などによる支援が決定している半導体大手ルネサスエレクトロニクスは5月9日、2013年3月期の決算を発表した。
 売上高は前年比11%減の7858億円、営業利益は232億円の赤字、純利益は1676億円の赤字となった。最終赤字は同社の発足以来3年連続で、1676億円という赤字額も過去最高である。

 赤字拡大の最大の理由は割増退職金などリストラ費用(約900億円)。
 同社は今年3月に、40歳以上の総合職などを対象に、3000人以上の早期退職を実施すると発表した。すでに昨年には7500人の早期退職を募集しており、削減数は合計で1万人を超える。昨年実施した7500人分がリストラ費用に該当していると仮定すると1人あたり1200万円を支払ったことになる。

  同社の経営改善は、1万人のリストラを決定した以外はほとんど何も進んでいない。第4四半期には営業利益が何とかプラスに転じたが、基本的な収益構造は以前と同じままだ。
 というのも、産業革新機構からの出資はまだ行われておらず、今回の決算発表に合わせてようやく新しいCEO(オムロン会長の作田久男氏)が決まったばかりなのである。
 新しい経営計画の策定もこれからであり、同社は経営計画を決められる状況にないとして業績予想も開示していない。要するに新しいCEOが就任し、増資が行われるまで何も分からないのである。

 産業革新機構という政府系ファンドが主導する同社の救済プランは、誰が責任者なのか分からず、ガバナンス不在となるリスクがかねてから指摘されていたが、それが早くも露呈した格好だ。
 産業革新機構の能美社長は「機構としての意思決定は有識者によって行われる」と発言し、自らがリーダーシップを発揮してルネサスの経営再建を進める意思がないことを明らかにしていた。一方、ルネサスの赤尾泰社長(当時)は、政府系ファンドが議決権の3分の2を握ることについて「国が関与という意識はない」と意味不明の見解を述べていた(本誌記事「ルネサス救済が正式決定。だが、早くもガバナンス不在の現実が露呈」参照)。

 機構の支援決定から5か月もかかってようやく新しいCEOの就任が決定するというスローペースであり、官の時間軸と市場の時間軸のズレは大きい。
  ともかく、システムLSIなど同社の重荷となっている事業部門をどのように再編していくのか、作田新CEOが就任し、新しい経営計画がまとまらないうちは何ともいえない。同社の方向性が見えてくるのは、早くても夏以降になる公算が高い。

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