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日本人は休みすぎ?労働時間と経済成長の適切な関係とは?

 

 最近はちょっとした残業を命じただけもブラック企業と呼ばれる時代になり、大手企業を中心に会社から早く帰るのが当たり前になってきている。
 だが景気低迷が長引き、高い失業率に悩まされる欧州では、労働時間の過度な短縮や休日の取り過ぎは、かえって自らの首を絞めるのではないかという議論も出てきている。

 そもそも労働時間と経済成長にはどれほどの関係があるのだろうか?
 OECDでは各国の労働時間を比較するデータを提供している。それによると、2010年における日本の年間総労働時間は1733時間となっており、米国(1778時間)よりもすでに短くなっている。ちなみに英国は1647時間、ドイツは1419時間、フランスは1562時間である。
 だがこれらの統計は算出方法が異なり、単純に比較するのは危険である。欧州各国、特に英国やドイツの実質的な労働時間は米国並みに長いとの指摘もある。
 米国、英国、ドイツは先進国の中で、もっとも経済が好調な国である。ドイツや英国の労働時間が、米国並みに長いのだとすると、労働時間と経済成長には一定の相関があるのかもしれない。

 労働時間は休日の数とも関係してくる。土日以外の祝日が多いほど、表面的には年間の総労働時間が減ってくる。日本の休日数は16日だが、英国は8日、ドイツは9日、米国は10日、フランスも同じく10日となっている。休日数だけみれば日本は先進国でもっとも多く休んでいる国民ということになる。

 もっともこの情報もあまりアテにはならない。法定休暇でなくても実際には休みを取れている可能性があるからだ。旅行会社のエクスペディアがまとめた有給休暇の調査によれば、有給休暇の消化日数は、米国が8日、日本が10日、欧州各国は20日超となっている。ちなみに、有給休暇と法定休暇を足した休暇日数は、日本は26日、米国は18日、欧州は30日前後ということになる。

 総合すると、先進国の中でもっとも経済成長率の高い米国は、突出して労働時間が長いことが分かる。フランスはその逆で休暇が多く労働時間が短い分、経済の停滞と高い失業率に苦しんでいる。雇用制度にかなりの柔軟性のあるドイツや英国の労働実態は不明だが、場合によって米国並みである可能性も高く、経済成長との関係が示唆される。日本は少なくとも米国と比較すればフランスに近く、あまり働かない民族ということになるだろう。

 米国人は昔からハードワークだが今でもその状況は変わらない。1980年代の日本における年間総労働時間は2100時間以上とかなり長かった。日本がここまで労働時間の短縮を進めてきたのは、日本の競争力を脅威に感じた米国からの強い政治的圧力がきっかけである。
 1980年代当時は、国をあげて「日本は働き過ぎで文化的レベルが低い」というキャンペーンが行われ、残業を減らすことが求められた。その結果かどうか分からないが、現在の日本は先進国でも有数の経済停滞国になってしまっている。

 労働時間を短くしたまま経済成長を実現するためには、付加価値の高い産業にシフトするしかない。だが最近の日本人はむしろベーシックなモノ作りで韓国や中国と競争しようとしているようにも見える。ちなみに韓国の労働時間は突出して長く2200時間を超えており、日本の高度成長時代並みに厳しい。もし韓国をライバル視するのであれば、日本の労働時間ではまったく太刀打ちできないだろう。

 労働時間は産業構造と密接に関係しており、単純に増やしたり減らしたりすればよいというものではない。現在、日本では労働市場改革が議論されている最中だが、どのような雇用のあり方や働き方がふさわしいのか、産業構造の転換も視野に入れた上での議論が必要である。
 単純な製造業を前提にした発想から転換しなければ、単に先祖帰りして長時間労働をすればよいという乱暴な議論にもなりかねない。

 - 社会, 経済 ,

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