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日米で金利が急上昇。米国は景気拡大を反映しているが、日本はどう解釈すべきか?

 

 日米で長期金利が上昇傾向を見せ始めている。米国の金利上昇についは、市場関係者の多くが株高と景気回復を反映したものと理解している。だが日本の金利上昇についてはどのように解釈したらよいのか判断が分かれている。

 長期金利はその国の長期的な経済成長率を反映する。したがって、景気が回復し株価が上昇する局面では金利も上昇してくる(債券が値下がりする)。

 米国景気は着実に回復してきており、株価もそれを反映、ダウは史上最高値を更新した。だが日本の場合、かなり状況が異なる。
 現在日本は、日銀による異次元緩和の真っ最中で、市場には大量の資金が供給されている。国債のほとんどは日銀によって「大人買い」されている状況であり、理論的には金利が下がることになる。

 実際、日銀が量的緩和を発表した直後は金利が急降下したが、その後金利は急上昇するなど市場の混乱が続いている。その後、短期的な混乱は収束したかに見えたが、金利は思いのほか高めに推移し、先週末には一時0.8%の水準まで急上昇した。債券先物市場では、2営業日連続で売買の一時停止措置(サーキット・ブレーカ)が発動された。

 この金利上昇を市場の混乱の延長と見るのか、日本の景気回復の表れと見るのか、あるいはインフレや財政危機の兆候と見るのかで、その意味はまったく異なったものになる。

 日本の財政破綻を懸念する声は根強いが、今すぐにそれが発生すると考える市場関係者は少ない。なにせ日銀が国債市場の7割を買い占めており、今すぐには暴落のしようがないからだ(7割というのは借換債も含んだ数字であり、新規の国債についてはすでに発行額以上を日銀が購入している計算になる。実質的に日本の財政は日銀の直接引き受け状態にある)。

 日銀の量的緩和の開始から1か月しか経っていないことを考えると、とりあえずは市場の混乱の延長か、最近の株高を反映した金利上昇という解釈が主流となるだろう。だが先にも触れたように、日本は実質的に日銀による国債ファインスを実施している状態にあり、このような大胆な賭けを行っているのは、先進国では日本だけである。景気回復を反映した金利上昇であっても、財政危機のリスクが減っているわけではない。
 景気拡大が持続するにしても、財政が実際に好転を始める段階が来るまで、財政危機のリスクはくすぶり続けることになる。

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