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4月の中国主要経済統計。穏やかな回復は続いているが状況は今ひとつ

 

 中国国家統計局は5月13日、4月の主要経済指標を発表した。全体として強弱まちまちとなっており、先週発表された貿易統計も今ひとつの結果であった。とりあえず穏やかな回復傾向が維持されていることが確認できたが、方向感がはっきりしない状況が続いている。

 鉱工業生産は前年比9.3%の増加となり低水準だった先月よりも0.4%ポイント上回った。ただ過去1年間の平均値よりは0.2ポイント低い数字だ。
 分野別では、化学(12.3%増)、鉱物(11.3%増)などが好調だが、輸送機器や電力などインフラ系の伸び悩みが目立つ。
 また輸出は3.1%と3月よりも1.5ポイント減、2月から比べると4.7ポイント減となっている。インフラ投資が減少し、輸出も振るわない状況がうかがえる。

 小売売上高も同様の結果だった。総合値は前年比12.8%増で先月よりも0.2ポイント増加した。だが14%近くの増加率が続いてた昨年と比較すると、低水準が続いている。

 インフラ投資は中国経済の体質転換を裏付ける結果となった。インフラ投資全体の伸びは前年同期比20.6%と3月よりも若干下回った。分野別では昨年を通じて毎月平均10%もの減少が続いてた鉄道分野の投資が24.6%増と復活した。
 鉄道省は中国最大の公共工事利権官庁だったが、多くの批判が集まり日本の国鉄と同様、解体された(本誌記事「中国鉄道省の解体は日本の国鉄民営化と同じ。高度成長の終了を示している」参照)。同時に、インフラ建設主導の途上国モデルから転換するため、鉄道関連のインフラ投資の抑制を進めてきた。ここにきて鉄道関連投資が増えてきたのは、投資縮小が一段落したことを示している。ただほかの指標がさえないこともあり、景気対策としてインフラ投資を増やしている可能性もある。

 5月8日に発表された4月の中国貿易統計は輸出が前年比15%増という好調な数字になっているが、今回発表された鉱工業生産の数値と矛盾する。資本規制が厳しい本土の企業が香港から人民元資金を得るために架空の輸出を行っている可能性が指摘されており、実態は4%増程度といわれる。もしそれが正しいとすると、鉱工工業生産の数値(3.7%)との整合性が取れる(本誌記事「データ改ざんの噂が絶えない中国の貿易統計。実際に数値を検証してみた」参照)。

  総合すると、中国経済はインフラ建設主導の10%成長モデルは完全に終了し、穏やかな成長モデルへの移行が進んでいる。だだ、そのペースは緩慢であり、まだ安定成長が保証される状況にはないともいえる。中国経済の今後の成長性について判断を下すためには、もうしばらく様子を見る必要がある。

 - 経済

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