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高速増殖炉もんじゅの運転再開が困難に。破綻に近づく核燃料サイクル政策

 

 かつて夢の原子炉と呼ばれ、日本の核燃料サイクル政策の要と位置付けられていた高速増殖炉「もんじゅ」が事実上、凍結される可能性が出てきた。

 高速増殖炉「もんじゅ」は昨年、約1万点の機器に関する点検漏れが発覚し、原子力規制委員会が検査を実施していた。5月15日、同委員会は、「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構に対して体制の見直しを求める命令を出すことを決定した。

 「もんじゅ」は1995年にナトリウム漏れが発生。その後、2010年に原子炉内に機器が落下する事故を起こし、現在は運転を停止している。
 規制委員会が求める体制の見直しには時間がかかるほか、敷地内に活断層があるとの指摘も出されており、「もんじゅ」が運転を再開するのは事実上困難になりつつある。

 高速増殖炉は日本が掲げていた核燃料サイクル政策の中核となる原子炉。通常の軽水炉はウランを燃料としているが、その使用済み燃料の中には、再度燃料に利用できるプルトニウムが含まれている。使用済み燃料を再処理しプルトニウムを取り出すことで燃料の再利用が可能となるほか、プルトニウムを積極的に生成できる専用の原子炉を建造することで、理論的には元のウランの70倍もの燃料を確保することができる。そのための原子炉が高速増殖炉である。

 だが高速増殖炉は、減速材と冷却剤に液体ナトリウムという危険性の高い物質を使用している。2次冷却に使用する水と触れると大事故に発展する可能性があり、安全性をめぐっては一部から批判が出ていた。また核燃料の再処理事業もトラブル続きで、青森県六ヶ所村に建設した施設は予定通りに稼働していない。再処理後に出てくる高レベル放射性廃棄物の最終処分場について、立地のメドがまったくメドが立っていないという問題もある。

 そのような中、「もんじゅ」がナトリウム漏れ事故や機材の落下事故を起こしたことで、核燃料サイクル政策の将来が危ぶまれていたが、今回の措置でその可能性がより高まってきた。
 核燃料サイクル事業には「もんじゅ」だけでも1兆円以上、すべての事業を含めると10兆円近くの費用が投入されている。そのほとんどは税金と電気料金への上乗せで賄われてきた。エネルギーの自給という壮大な目標を掲げてスタートした戦後最大級の国家プロジェクトは、破綻に近づきつつある。

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