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欧州の1~3月期GDP成長率。6四半期連続のマイナスで景気失速が鮮明に

 

 欧州連合(EU)は5月15日、ユーロ圏の2013年第1四半期(1~3月期)の経済成長率を発表した。ユーロ圏17カ国の実質GDP成長率は前期比でマイナス0.2%となり、6四半期連続のマイナス成長となった。またEU27か国の成長率もマイナス0.1%となった。

  EUは5月3日にすでに2013年のGDP成長率見通しを発表しており、それによるとユーロ圏はマイナス0.4%、EUはマイナス0.1%となる見込み(本誌記事「EUが経済成長見通しを下方修正。緊縮財政は事実上棚上げか?」参照)。したがって1~3月期のGDPの数値が良くないことは予想の範囲内であった。
 だが足下における景気の失速があらためて確認されたことで、緊縮策の見直しなど政治的な動きがさらに加速する可能性が出てきている。

 国別では、ドイツと英国がそれぞれプラス転換となった。ドイツは前期のマイナス0.7%からプラス0.1%に、英国はマイナス0.3%からプラス0.3%となった。だがフランスはマイナス0.2%と横ばい、イタリアはマイナス0.5%と前期のマイナス0.9%からは改善は見られるものの、以前としてマイナス成長のまま。オランダも同様にマイナス0.1%となっている。財政危機を起こしているスペインはマイナス0.8%からマイナス0.5%へと改善が見られた。

 欧州中央銀行(ECB)はすでに政策金利を0.25%引き下げ、過去最低の0.5%にすることを決定している。追加利下げの可能性は高く、ドラギ総裁はマイナス金利にも言及している。

 欧州の景気失速は、EUの枠組みに対して2つの大きな影響を与える可能性が高い。ひとつは、これまでEUの基本路線であった緊縮策の見直しである。すでにイタリアは部分的な緊縮策の見直しを表明しているほか、フランスも財政再建の期限を延長する方針だ。これまで緊縮策を強く主張してきたドイツのリーダーシップが弱まる可能性が出てくる。
 もうひとつは英国のEU脱退論の盛り上がりである。英国では、EU脱退論が広がりを見せており、キャメロン首相は2017年までに国民投票を実施する方針を明らかにしている。5月2日の統一地方選では、EU脱退を主張する政党が大躍進し、連立与党や野党労働党を慌てさせた(本誌記事「英国でEU脱退を主張する政党が大躍進」参照)。相対的に良好な英国の経済情勢が、EU脱退論に拍車をかける可能性がある。

 欧州の景気動向は日本経済に直接的な影響を与えるわけではない。だが、欧州の景気悪化がユーロ安をもたらすようなことになれば、日本の円安政策とは利害が一致しなくなる。また欧州は中国の最大の輸出先であり、中国の景気動向には大きな影響を及ぼす可能性が高い。

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