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キッシンジャー氏が尖閣問題について発言。だが、その背景はちょっと微妙!

 

 米ニクソン政権の国務長官で米中国交回復のキーマンであったヘンリー・キッシンジャー氏の尖閣諸島に関する発言がいくつかのメディアに取り上げられている。

 時事-尖閣棚上げ望ましい
 産経-日中間には合意があった。基本的には日中間の問題

 外交問題の権威として世界的に有名な氏の発言は、時として各国の様々な立場の人が自説が正しいことの根拠として引用される(本人もそれを良く自覚している)。

 今回の発言も、日中間に合意があり、中国の主張には正当性がないという立場からは、それを裏付ける発言ともとれるし、米国は日本に対して支持を表明することはないと主張する立場からはその根拠にもなる。

 いずれにせよ注意しなければならないのは、この発言が出たのは、ワシントンのシンクタンクが企画した「中国の新しいリーダーシップにおける米国の機会は?」と題するセミナー会場であるということ。
 しかも、キッシンジャー氏の1時間30分にわたる講演の後、質疑応答の時間の最後に、中国系の参加者からの質問に答えたものだ。講演そのものは、終始米中関係を悪化させてはならないというトーンで一貫していた。

 キッシンジャー氏の業績は米国でも極めて高く評価されているが、すでに過去の人(米国人ジャーナリスト)であるのも事実。
  ニクソン政権時代の国務長官であり、年齢は89歳。かつてはカミソリのような切れ味の人物であった。だが、年齢には勝てず、最近では話すスピードがかなりゆっくりで、時々何を言っているのか判別不能なこともある。
 尖閣諸島に関するコメントでは、質問内容を覚えられず、隣のパネリストに「今の質問は何だったっけ?」と聞き、パネリストが延々と説明する状況であった。

 キッシンジャー氏のような人物は、外交関係者の世界におけるセレブ的存在だ。その知名度を生かして、各国で講演をしたり、コメントを残すのが現在の仕事である。

 氏の業績に対して敬意を表することは必要だろうが、過度な評価は禁物である。リアリズムを貫き通したキッシンジャー氏にならって、ここは現実を直視した方がよいだろう。氏の今回の発言は、現在のアメリカにおいてさほど重要視されることはないだろう。

 - 政治

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