ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

三洋電機が完全消滅へ。ところで三洋はもともとパナソニックだって知ってました?

 

 パナソニックは2011年に戦略的買収を実施した三洋電機を事実上解体する。日本経済新聞の報道によると、3年後をメドに国内外で2500人前後いる従業員を10分の1程度に減らす。米ウォルマート向けにテレビを供給している事業も分離を検討しており、三洋電機の中核事業は基本的に消滅させる。

 パナソニックは2011年、大規模な事業戦略の一環として三洋電機の買収を行った。
 当時の三洋電機は、リチウムイオン電池や太陽電池部門で高いシェアを持っており、パナソニックの事業を補完し、シナジー効果を発揮できるとパナソニック側は考えていた。

 だが三洋の買収に要した金額は約7000億円に達し、そのうち5000億円がのれん代であった。のれん代とは、買収された企業の実際の価値と買収価額の差額のことを指す。のれん代が5000億円あったということは、実際の価値である2000億円よりも5000億円高く買ったことを意味している。

 当時から三洋の買収金額の高さは市場で疑問視されていたが、その懸念は現実のものとなった。三洋電機の主力事業であるリチウムイオン電池の売上げ不振が続き、買収した翌年の決算である2012年3月期には約8000億円の巨額赤字を計上、さらに前期決算である2013年3月期も7500億円の大赤字となった(本誌記事「パナソニック決算。何とか出血状態から脱却したが、長期的方向性は示されないまま」参照)。このうち、三洋電機の減損分は約半分の7000億円にも達する。つまり、わずか2年で三洋電機の価値はほぼゼロになってしまったのである。

 会計上は三洋電機はすでに消滅しており、今回のニュースはそれが現実的な動きになっただけである。特に大きなサプライズというわけではない。だが三洋電機創業の由来を知る人にはちょっとしたニュースである。

 最近では知らない人も増えているが、もともと三洋電機はパナソニックから分離した会社である。三洋電機創業者の井植歳男はパナソニック(当時の社名は松下電器産業)の元専務であり、パナソニック創業者である松下幸之助の義弟(松下幸之助の妻むめのの弟)であった。
 なぜ井植氏が松下から飛び出したのかその理由は現在でも明らかになっていないが、何らかの不和があったことは間違いないといわれる。分離独立後65年にして元の会社に出戻り、そして消滅した。

 パナソニックは今回の赤字決算で過去の膿はほぼ出し切った。今後同社が本格的に成長するための道筋はまったく見えていないが、営業利益は何とか黒字を確保するまでになった。
 戦後日本の象徴的な存在であったパナソニックが経営危機に陥ったという現実は、日本型の成功モデルが完全に終了したことを意味している。同社の経営危機のきっかけになったのが、終戦直後に分離独立した兄弟会社の吸収合併であったというのは、なんとも皮肉な結果である。

 - 経済 , ,

  関連記事

barroso
米とEUが米欧FTAの交渉開始。これが出来上がるとTPPなど吹っ飛ぶ?

 米国と欧州連合(EU)は13日、米欧における自由貿易協定(FTA)の交渉を開始 …

suntorypuremoru
サントリーが新浪氏のトップ就任に合わせて組織改編。とうとうビール部門が独り立ち

 サントリーホールディングスは2014年9月25日、ビール事業の分離などを柱とす …

todai
茂木健一郎氏のツイッター発言で偏差値論争が再燃。日本人が偏差値大好きな理由とは?

 脳科学者の茂木健一郎氏がツイッター上で、学力偏差値とそれを公表している大学受験 …

bananki
バーナンキ議長は実は市場のことを分かっていなかった?緩和縮小見送りに関する新情報

 9月からの量的緩和縮小という市場のコンセンサス180度ひっくり返し、市場に衝撃 …

no image
経済誌のスクープ記事で、アップルの奴隷に成り下がった日本メーカーの実態が明らかに

 週刊ダイヤモンドのアップル特集が話題となっている。iPhoneに部品を供給する …

sharp
シャープが再び巨額損失を計上。資本政策をめぐって経営陣は右往左往

 経営再建中のシャープは2015年5月14日、注目の2015年3月期決算を発表し …

euuk
EU離脱をめぐる市場の反応。英国の株価はむしろ上昇、欧州側が大幅下落のナゼ?

 英国のEU離脱をめぐって一度は落ち着いた金融市場が再び動揺している。ドイツ銀行 …

ginkou
日本ではなぜ借金の個人保証がなくならないのか?

 民法の抜本改正を検討している法制審議会(法務大臣の諮問機関)が、中小企業融資に …

doller02
外貨準備の運用を民間に開放。一部からは金融機関の救済策との声も

 政府は外国為替資金特別会計(いわゆる外為特会)の運用方針を見直す。これまで外部 …

kosokudouro03
大型の公共事業がかえって内需拡大を邪魔している?求人倍率改善のウラ事情

 多くの国民にとってあまり実感が湧かないが、各地で人手不足が深刻になっている。厚 …