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安倍首相が成長戦略第2弾を発表。規制緩和を掲げるも消極的な印象。焦点は特区構想へ

 

 安倍首相は5月17日、都内で講演し企業の設備投資を年間70兆円台に回復させることを目的とした、成長戦略の第2弾を発表した(写真)。

 安倍氏は講演のかなりの部分を設備投資に関する話題に費やした。かつてのソニーや現在のサムスンなどを例にあげ、経済成長には活発な設備投資が不可欠と指摘。
 今後3年間を「集中投資促進期間」と位置付け、国内投資を促進するため、税制、予算、規制改革といったあらゆる施策を総動員すると強調した。

 安倍氏の発言は、内閣府が5月16日に発表した2013年1~3月期の国内総生産(GDP)の数値を強く意識したものだ。
 1~3月期の実質成長率は前期比0.9%増、年率換算では3.5%増と好調だったが、企業の設備投資はマイナスになっている。エコノミストなどからは、日本の産業構造は製造業中心であり、製造業の設備投資が復活しないと本格的な回復とはいえないとの指摘が相次いでいる。成長戦略の第2弾として設備投資の回復を掲げたのは、この懸念を払拭したいとの考えからだ。

 90年代からリーマンショックが起こるまでの約20年間、日本の民間企業は年間約70兆円程度の設備投資を行っていた。だがリーマンショック以降、その水準は60兆円まで下落し、その後復活していない。また政府の公共投資や住宅投資なども含めたすべての固定資本形成額は固定資本減耗額を下回っており、とうとう日本はインフラの劣化が始まった。このままの状態が続くと日本のインフラは近い将来ボロボロになってしまう。
 日本経済が順調に成長していくためには、少なくともリーマンショック前の水準である70兆円程度の設備投資が必要なことは確かである。

  安倍氏の主張では、設備投資を促進させるためにはイノベーションが必要であり、イノベーションを引き起こすためには規制緩和が重要だという。まさに正論なのだが、その方策はというと、何とも具体性に欠ける。水素自動車やビックデータなどを例として取り上げたが、小さな個別事例という印象は否めなかった。
 少なくともアベノミクスの成長戦略においては、小泉政権の時に計画されたような大々的な規制緩和は行われない可能性が高くなってきた。もし似たような戦略が実施されるとするならば、それは「特区構想」という部分的なものになるだろう。

 今回の発表で安倍氏は特区構想については触れおらず、この詳細については成長戦略の第3弾で発表されることになる。もし第3弾の発表における特区構想が小規模なものだった場合、少なくとも諸外国からはサプライサイドの成長戦略を採用しているとは見なされなくなるだろう。日本市場に熱い視線を注いでいる海外マネーの一部は失望して去って行く結果となるかもしれない。

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