ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

飯島参与の訪朝を受け入れた北朝鮮の窮状。朝鮮総連ビル落札問題も影響か?

 

 北朝鮮は5月18日から20日までの3日間で計6発の短距離ミサイルを発射した。いずれも北朝鮮東部から発射され、射程は120キロ程度と米国はもちろん日本にも到達しないレベルのものだった。北朝鮮では軍事訓練の一環としている。

 飯島勲内閣官房参与が北朝鮮を訪問した直後に、対外的にはほとんど影響のないミサイルを発射したことについて、日本側に妥協していないという北朝鮮内部に向けたアピールとの見方が強まっている。

 北朝鮮が飯島氏の訪朝を受け入れた理由は2つあると考えられる。ひとつは拉致問題を交渉材料に日本から何らかの経済的支援を引き出す目的。もうひとつは北朝鮮がもっとも重視している米朝二国間交渉を有利に進めるための揺さぶりである。

  北朝鮮は日米韓のみならず中国まで本格的な経済制裁をスタートさせたことで非常に苦しい立場にある。一方、北朝鮮にとって最大の外貨調達先でもあった日本の朝鮮総連(在日朝鮮人総連合会)も財政的に苦しい立場に追い込まれている。
 東京九段にある朝鮮総連の本部は事実上北朝鮮の大使館として機能してきたが、本部ビルに対する債権を保有していた朝鮮信用組合が破綻したことで、競売にかけられてしまった(本誌記事「東京・九段にある朝鮮総連本部ビルがとうとう競売に。思いのほか建物はボロボロだった」参照)。
 当初は朝鮮総連と関係が深いといわれる宗教法人最福寺の法主、池口恵観氏が約45億円で落札したが、結局購入代金を支払えず、再入札となった。朝鮮総連本体はもちろん、関係者の資金を総動員してもわずか50億円のビルを落札できない状況であり、深刻な財政危機にあることがうかがえる。北朝鮮としては、拉致問題のカードを切ってでも、何とかして日本から援助を引き出したいところだろう。

 日本との対話進展の動きは米朝交渉への揺さぶりという点でも効果がある。日米中韓の4国が結束し北朝鮮に対して厳しい姿勢で臨むというのが、米国の表向きのスタンスだが、ホンネは別のところにある。それはズバリ、北朝鮮との二国間交渉であり、実は北朝鮮側もそれを強く望んでいる。
 だが北朝鮮としては、米国と交渉したいというスタンスを前面に出しすぎれば米国との交渉で不利になってしまう。日本との二国間交渉も可能であることをチラつかせることで、米国の譲歩を引き出したい考えだ。米国側が求めるのは、朝鮮半島の非核化と北朝鮮の市場開放である。一方、北朝鮮側が求めているのは金正恩体制の維持と資金援助である可能性が高い。結局はカネの問題なのである。

 こうした北朝鮮の窮状は、拉致問題を解決したい日本にとっては大きなチャンスである。とりあえず米国側は日本と北朝鮮の交渉の成り行きを静観している(本誌記事「飯島氏訪朝に対して米国はとりあえず静観の構え。米国のホンネはどこにあるのか?」参照)。
 ただ日朝交渉の流れが、米朝交渉において米国側を不利にさせる状況になれば、米国は黙っていないだろう。また北朝鮮に対する支援の内容によっては、北への援助が単なる経済利権と化してしまう可能性もある。
 安倍政権は、米朝関係の進展を見据えた微妙な舵取りが求められている。

 - 政治

  関連記事

chinacompany
経済援助型から企業M&Aへと変貌する中国の直接投資。日本はどう付き合う?

 これまで香港経由や途上国に偏重していた中国の直接投資が大きく変わろうとしている …

kokkaigijido02
特定秘密保護法が施行。制度を健全に運用するためには、国会の強い関与が必要

 秘匿が必要な重要情報を保護する特定秘密保護法が2014年12月10日施行された …

no image
財務省人事、真砂氏の次の次官は誰だ?

【本記事は2012年8月のものです。財務省の最新の人事情報記事はこちらです】「木 …

shukinpeiru
習近平国家主席が就任早々、米国のルー財務長官と会談

 米国のルー財務長官は3月19日、中国を訪問し、就任したばかりの習近平国家主席と …

obama201406
オバマ大統領がイラクに派遣する軍事顧問は、ビンラディンを殺害した精鋭特殊部隊

 オバマ米大統領は2014年6月19日、イラクに軍事顧問団を300人派遣する方針 …

hatake
農業の競争力強化を目指す政府系ファンドが開業。実態は衰退する農業への補償金?

 農業の競争力強化を目指す官民ファンド「農林漁業成長産業化支援機構」が1日開業し …

abeshouhizei
法人減税の急浮上によって、政府内部の財政をめぐる綱引きが激化

  安倍政権が消費税の増税と、これに対応した総額5兆円の経済対策を発表したことで …

kuroda
黒田日銀が、このタイミングで構造改革路線を主張し始めた理由

 日銀が、かつての「構造改革路線」を強く主張し始めている。黒田総裁は2014年5 …

berurusukoni
イタリアの暴れん坊ベルルスコーニ元首相に有罪判決。収監は回避も政治力低下は必至

 イタリア最高裁は7月1日、脱税で起訴されていたベルルスコーニ元首相の上告を棄却 …

ierensamazu
次期FRB議長最有力候補サマーズ氏が無念の辞退。理由はズバリ、傲慢不遜な性格

 米FRB(連邦準備制度理事会)次期議長の最有力候補であったサマーズ元財務長官が …