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4月の貿易収支。エネルギー輸入増と輸出数量の減少が続き、赤字連続記録を更新

 

 財務省は5月22日、4月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8799億円の赤字となった。貿易収支が赤字となるのは10カ月連続で4月としての赤字額は過去最大。円安が進んだことでエネルギーの輸入価格が上がったことや、輸出数量の減少が響いた。

 輸入額は前年同月比9.4%増の6兆6573億円となり、6カ月連続の増加となった。
 液化天然ガスなどエネルギーの輸入が増加したほか、中国やアジアからの衣類や電子部品の輸入が急増した。アジアからの輸入額は8か月連続で増加しているほか、中国からの輸入額は過去最大(約1兆5000億円)となった。

 一方輸出額は前年同月比3.8%増の5兆7774億円と2カ月連続の増加となった。北米向け自動車輸出が好調だったことや円安の効果が影響した。だが輸入の伸びに対して輸出の伸びは小さく、これが貿易赤字を拡大する原因となっている。

 輸出額の伸びが小さいのは、輸出の数量が減少しているからだ。輸出数量の減少は10カ月連続で2012年2月には対前年同月比15%ものをマイナスを記録した。4月は5.3%減と減少幅は縮小しているが、マイナスが続いていることに変わりはない。円安効果を数量減少が相殺する構図が続いている。
 季節調整済みの数値では、貿易赤字の額は2カ月連続で減少しており、赤字拡大に歯止めがかかってきた兆候もみられる。だが現段階では日本の赤字体質は拡大したままといってよい。

 米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は、早ければ今年中に量的緩和策からの出口戦略に移行するといわれている。そうなると、さらに円安ドル高が進行してくる可能性が高い。外貨建て取引の比率は輸入の方が高く、円安が継続してしまうと、常に先行して輸入が増加し貿易赤字が減らないことになる。円安効果が後で出てくるという、いわゆるJカーブ効果が成立しなくなってしまうのだ(本誌記事「首相がアベノミクスへの懸念について見解を表明。あと半年で円安効果が出るというが」参照)

 日本の貿易赤字を安定した状態で推移させるためには、輸出数量の増加と安価なエネルギー源の確保が重要となる。エネルギー源の確保については、すでにいくつかの動きがある。
 米エネルギー省は5月17日、ようやく日本に対する天然ガスの輸出を許可した(本誌記事「米国が天然ガスの日本輸出を許可。これが経済や政治にもたらすインパクトは大きい」参照)。米国産の安価なエネルギーが安定的に手に入ることの意味は大きい。また政府は石炭火力発電所の環境アセスメント基準の緩和を決定しており、安価な石炭火力の増発がやりやすくなった。これらが複合的に効いてくれば、輸入額の伸びをある程度抑制することが可能となるだろう。

 だが輸出数量の増加は、日本企業の競争力の問題であり、政策的に対応できる余地は少ない。競合が激しい低付加価値製品からは撤退し、高付加価値製品に特化するなどの思い切った経営戦略を各社が採用しない限り、輸出数量の低下傾向は続くと考えられる。

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