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政府と日銀が相次いで景気判断を上方修正。背景には来年4月の消費増税が・・・

 

 政府や日銀が景気判断の見直しに向けて動き始めた。政府は5月の月例経済報告で景気の総合判断を2カ月ぶりに上方修正した(写真)。また日銀は5月の金融政策決定会合において、4月に導入した量的緩和策の継続を全員一致で決めるとともに、景気の基調判断を上方修正した。

 株高を背景に個人消費が堅調に推移しており、景気には明るい兆しが見えている。実際、2013年1月~3月期の実質GDPは年率換算で3.5%増と好調な数字だった。だが一方で企業の設備投資は振るわず、個人消費の減速を示唆する指標も出てきている。
 景気が回復軌道に乗っていると判断するのは早計であるにもかかわらず、政府、日銀が相次いで景気判断を上方修正している背景には、来年4月に予定されている消費増の増税がある。

 政府の月例経済報告は、株高という期待感が個人消費を伸ばしているというアベノミクスの基本構造を象徴する内容であった。
 政府の月例経済報告には、基調判断の材料となる個別の評価項目が8つあるが、このうち先月から上方修正したのは4つで、残りは現状維持であった。上方修正されたのは、輸出、生産、企業収益という企業に関する項目が3つ、もうひとつは物価である。

 物価については「緩やかなデフレ状況にある」という表現から「デフレ状況にあるものの、一部に変化の兆しもみられる」に変更となった。だがデフレの状況にあるという文言が示すとおり、物価の下落は今も続いており、上昇に転じたわけではない。

 また企業関連の3指標もかなり危うい状況だ。本当に輸出と生産が回復し、企業業績が上向いているのであれば、すでに設備投資が増加しているはずだが、設備投資の指標は現状維持のままとなっている。企業の業況感についても同様で「改善の動きが見られる」のまま据え置いた。
 これまで長期のデフレだったことを考えれば、設備投資が容易に回復するわけはなく、それなりのタイムラグが発生することはやむを得ないことかも知れない。
 実際、設備投資の先行指標といわれる3月の機械受注統計は前月比14.2%と 大幅増となっている。この傾向が今後も続くようであれば、景気が回復に転じたと判断することも可能かもしれない。だが、現時点では明確に堅調であることが確認できるのは個人消費だけであり、景気判断を変更するのは時期尚早だろう。

 政府が景気判断の上方修正を急ぐのは、来年4月に予定されている消費増税を控え、景気が回復していることを印象づけたいからである。
 消費税法案には付帯条項が付いており、名目で3%、実質で2%程度の経済成長を導入の条件としている。実際にはこの目標を達成しなくても増税できるような曖昧な表現になっているが、ひとつの目安になっていることは間違いない。政府は2013年4月~6月期のGDP成長率の数値を基準に、消費税の増税を判断する方針である。

 現状では次の4半期で名目3%、実質2%の両方を達成することはほぼ不可能である。だが1月~3月期に実質ベースで3.5%成長であったことを考えれば、実質でこの目標を達成することは容易と考えられる(もちろんこの数値はデフレが解消しないことの裏返しでもあるわけだが)。
 また、今年1月に成立した2012年度補正予算(総事業費20兆円、政府支出10兆円の緊急経済対策)はまだ多くが執行されておらず、実際にお金が動き出すのは これからとなっている。公共工事の発注がGDPに効いてくれば、名目成長率もかさ上げできるかもしれない。

 とにかく次の四半期は補正予算の執行で何とか成長率を維持することができるので、それまでに個人の消費ムードが沈滞してしまうことは何としても避けたいということろが当局のホンネだろう。もっとも政府与党内部には、早くも消費税先送り論が出てきており、今後財務省との駆け引きが活発化してくる可能性が高い(本誌記事「見かけ上?好調なGDPの数値から、安倍政権内部で消費税先送り論が台頭」参照)
 このような形で消費増税が決定されてしまうことの是非はともかくとして、日本経済が本当に回復軌道に乗っているのを現状で判断するのは非常に難しい。補正予算というカンフル剤が終了し、消費増税という向かい風が吹き始める来年4月以降になれば、日本経済の本当の姿が見えてくるだろう。

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