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実は似た者同士?正反対といわれる黒田、白川両総裁には共通の目的があった?

 

 従来の日銀とはまったく異なる異次元の金融政策を打ち出した黒田総裁は、前総裁の白川氏と正反対の人物と思われている。確かにある意味ではまったく主張の異なる人物なのかもしれないが、実は根本的なところでの両者の思想は非常に似かよっている。本当は似た者同士なのかもしれないのだ。

 異次元の量的緩和策を打ち出した黒田氏は、哲学者ポパーの書籍を愛読しており、異次元の量的緩和策にもポパーの思想が色濃く反映されているという。
 ポパーは科学哲学という分野で大きな実績を残したオーストリア出身の哲学者で、世界的投資家であるジョージ・ソロス氏が信奉していることでも有名だ。

 ポパーの主な研究対象は科学の客観性についてなのだが、彼の主張は、反証可能なものでなければ科学とは呼ばないというかなり原理主義的なもの。ポパーは、共産主義や全体主義の国家は反証不可能な非科学的イデオロギーがまかり通っているとして強く批判していた。

 黒田氏をよく知る評論家の田中直毅氏によれば、黒田氏は日銀の金融政策を含め、従来の日本の政策はポパーのいうところの反証不可能な非科学的なものばかりであったと考えているという。
 確かに日本の社会風土自体が、論理を重んじるものではなく、むしろ様々なパラダイムが併存しているカオスの形態である(ちなみにパラダイム論とはポパーの反証主義の対立概念として有名)。

 これは黒田氏の直接の発言ではなく、あくまで田中氏の主張なのだが、黒田氏が異次元緩和を行った真の目的は、曖昧な政策の影に隠れて不当な利益を得ている日本の既得権益層を破壊することにあるのだという。確かに日本に強制的にインフレを起こせば、富の移転が起こり、一部の既得権益は消滅してしまうだろう。

 既得権益層の存在が弊害をもたらしているというこの考え方は、実は白川氏もまったく同じなのである。伝統的に日銀には、自由主義経済の原理主義者が多いことで知られている。
 白川氏は黒田氏と比べると官僚色が強く、慎重に言葉を選んではいるが、実は説明の端々に原理主義的な主張が色濃く滲み出ている。
 白川氏は基本的に経済成長の主体は民間のイノベーションであり、これを推進するには競争を徹底するしかないと考えている。この考えに基づけば、政府が取り組むべき政策は規制緩和であり、既得権益の上であぐらをかいている産業はどんどんつぶすべきということになる。

 つまり白川氏は構造改革の徹底を通じて、黒田氏は強制的なインフレを通じて、既得権益層の破壊を意図しているという点でまったく同じなのである。違うのはその手段だけというわけである。

 確かに両者の主張には一理ある。日本が制度疲労を起こしているのは、規制や利権に守られた特定産業や特定階層の存在が大きく影響していることは間違いない。
 一方で両者の主張には大きな矛盾がある。黒田氏、白川氏は典型的な官僚出身者であり、彼らは自分自身が攻撃している既得権益層の一部なのである。

 自分自身は例外だが、既得権益層の存在はよくない、ということであれば、確かにその主張には説得力がなくなってしまう。白川氏の主張が十分な説得力を持たなかった真の理由がそこにあるならば、黒田氏も結局は、同じ結果に終わってしまうのかもしれない。黒田氏は果たしてオモテを出すことができるのだろうか?

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