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弁当の路上販売規制問題。利害関係者が自説を堂々と主張しない日本の社会風土

 

 東京都は最近増加している弁当の路上販売について規制強化の検討を始めている。すでに4月から実態調査を開始し、衛生問題に関する検討会を発足させたという。

 弁当の路上販売はもはや日常的な光景である。500円前後と値段が手頃であることから、昼休みにはあっという間に売れてしまう。

 東京都が規制強化を検討する理由は衛生問題だという。日光のあたるところで弁当を販売すると、雑菌が繁殖し食中毒が起こりやすくなるというがその理由だ。
 だが衛生問題というのは規制を強化する本当の理由ではない。背景には、路上の弁当販売に顧客を奪われている地域飲食店の存在がある。

 確かに弁当の路上販売は、届出制となっており、一般的の飲食店のような許可制ではない。初期費用も少なく手軽に始められる路上販売が低価格で弁当を販売することで、地域の飲食店が苦戦を強いられているのは事実だろう。
 道路は公共の場所であり、税金が投入されている。公共の場所でどの程度までビジネスが許されるのかは、諸外国でも議論になっており、そのこと自体にはいろいろな見解があってよい。

 だが今回のケースで問題なのは、行政が突然、衛生問題を持ち出して一方的に規制に乗り出そうとしているという点である。日本では利害が対立する双方の関係者がオープンに自説を主張し、それを国民が判断するという土壌がない。政治権力に近い側が行政に圧力をかけ、オープンな議論を行わないまま規制を強化してしまう。

 日本では一部の自治体において1000円均一の洗髪なしの理髪店は禁止されている。洗髪しないと衛生上問題があるのだという。米国では理髪店で洗髪しないことが普通であることや、美容院では洗髪なしのサービスが存在していることを考えると、衛生上問題があるというのはスジが通らない。格安理髪店に顧客を奪われている既存の理髪店からの政治的圧力であることは明白だ。

 薬のネット販売規制も同様である。ネット販売推進派が楽天という巨大企業であったことから、このケースでは訴訟に持ち込むことができたが、これが立場の弱い零細業者であれば、行政の一方的な規制強化に泣き寝入りするしかなかったであろう。
 楽天側は積極的にマスメディアに登場して自説を主張していたが、肝心の規制強化を求める側はなかなか表に出てこない。あたかも厚労省の官僚が規制強化を主張する勢力の代弁者のようであった。

 米国における移動販売規制の議論を見ていると、非常にオープンであることに驚かされる。規制強化を求める側は、移動販売が増えすぎると、店の看板が見えなくなったり、入店が邪魔されて営業妨害になると正々堂々と主張している。
 路上販売の規制強化問題は、後ろ暗い日本の社会風土を象徴する出来事といえるだろう。

 - 政治, 社会

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