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成長戦略の内容が徐々に明らかに。目新しさに欠け、市場が失望する可能性も

 

 政府が6月にまとめる成長戦略の内容が徐々に明らかになってきた。設備投資の促進、ヘルスケア産業の強化、FTA(自由貿易協定)の比率引き上げ、インフラ輸出などが主な柱となっている。市場の期待に反して目新しさに欠ける内容となっており、場合によっては失望を誘う可能性も出てきた。

 政府の産業競争力会議ではこれまで成長戦略に関する議論が続けられてきたが、会議は当初から分裂ぎみの状態であった。
 事務局(経済産業省が中心)の意向に近い民間議員による従来型の産業支援策を主張するグループと、規制緩和を軸とする競争政策を主張するグループで提言内容がバラバラになっていたからだ(本誌記事「産業競争力会議が初会合。だが官僚主導で従来型の陳腐な内容に収支する可能性大」)。

 5月29日の会合では成長戦略に対する基本的な考え方について議論されたが、基本的には官僚サイドの主張を軸に部分的に競争政策推進派の意見が取り入れられた形となっている。一時は競争政策派が巻き返しを図る動きが見られたが、大胆な規制緩和は成長戦略には盛り込まれない可能性が高くなってきた(本誌記事「安倍首相が竹中氏の「特区」プランを採用。外資誘致、カジノなど刺激的なプランが並ぶ」参照)。

 成長戦略は①日本産業再興プラン、②戦略市場創造プラン、③国際展開戦略という3つの項目で構成されている。
 日本産業再興プランの柱となるのは、設備投資の支援策である。内容は税制措置によって古くなった設備の更新を促したり、導入した先端設備が急激に値下がりするリスクの一部を国が負担する新しいリース制度の導入など、どちかというと後ろ向きな内容となっている。雇用制度改革や特区の設置といった競争政策を軸としたプランは副次的な位置付けだ。

 戦略市場創造プランは、ヘルスケア産業の育成や適正なエネルギー需給、民間資金を活用した老朽インフラの更新といった項目が並ぶ。ただエネルギー需給の項目では筆頭に石炭火力の環境規制緩和が出てくるなど、電力不足に対する緊急対策という印象が強く、戦略的プランとは言い難い。
 国際展開戦略は、従来から議論されてきた通り、FTAの拡大とインフラ輸出の強化をうたっている。FTAについては貿易の70%をFTA対象とすることを念頭に置く。

 6月の正式発表までの間には、さらに議論が重ねられることが予想され、この骨子がそのまま成長戦略となるののかは分からない。ただ、市場は大胆な競争政策を望んでおり、現在の株高を主導している外国人投資家は特にその傾向が強い。仮に最終的な成長戦略がこの内容から大きく変更されなかった場合、市場からはアベノミクスが「後退」したとみなされる可能性もある。

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