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教育再生会議が英語教育の拡充を提言。だが特定校重点支援という概念には疑問の声も

 

 政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)は5月28日、大学教育などのあり方に関する提言書をまとめ安倍首相に提出した。大学のグローバル化や小学校における英語教育強化、イノベーション創出人材の育成など、産業界からの要望を多く取り入れた内容となっている。一部は政府の成長戦略にも盛り込まれる予定。

 提言の中でもっとも大きな割合を占めているのが、グローバルな人材の育成とそれを目指した大学運営のグローバル化である。

 国際共同研究の促進や外国人教員の登用などに加えて、国際化を進める大学に対して重点支援を実施、今後10年で世界の大学トップ100に10校以上のランクインを目指す。
 これに付随して、大学入試へのTOEFL活用や、英語を小学校の正式教科にすることなども提言している。

 もうひとつの柱が、イノベーション創出人材の育成である。技術と経営を俯瞰できる人材育成を図るため、大学における文理横断プログラムの強化や、カリキュラムの大胆な転換をうたっている。このほか、「学生を鍛え上げ社会に送り出す教育機能の強化」や「社会人の学び直しの機会の充実」などが盛り込まれた。

 だが提言の内容をめぐっては各方面から疑問の声が上がる可能性が高い。特に提言の柱となっているグローバル化を目指した大学の重点支援策については、その効果が不透明な状況だ。

 このところ日本の大学の国際的地位が低下していることは明らかだが、それが英語力のなさによるのものなのかについては議論が分かれている。
 これまで文部科学省は、大学の国際的な学術成果向上を目指して、特定大学(特に旧帝国大学)の重点支援策を行ってきた(本誌記事「文部科学省が特定大学に研究費を重点助成。旧帝大がさらに有利に」参照)。だが日本の大学の評価は下がる一方となっており、特定大学を重点支援する方法そのものが正しかったのか、そろそろ検証すべき時期に来ている。
 だが今回の支援策は、基礎研究という言葉がグローバル化という言葉に置き換わっただけで、特定校を重点支援するという基本的な考え方は変わっていない。もし大学の地位低下が、支援策に関する根本的な方法論の間違いによるものであれば、今回の施策も同じ結果に終わる可能性がある。

 イノベーション創出人材についても同様だ。大学院のカリキュラム変更や大学発ベンチャーに国立大学が出資できるよう制度を改正するなどの施策が提言されているが、このような対策でイノベーティブな人材が広範囲に輩出できるとは考えにくい。

 わずか数年前まで、教育問題の中心はゆとり教育が原因とされる学力低下であった。その抜本的な解決策が提示されないまま、今度はグローバル人材やイノベーション人材の問題にシフトしてしまっている。
 学力が低下している、あるいは英語力が低いという現実があるのだとすれば、まずは単純に時間数を増やすといった現実的対策を実施することが重要である。新しい施策を考えるにしても、時間数増加の結果を数値で評価してからでも遅くはないだろう。

 基礎学力、英語力、イノベーション力という、その都度話題になっているテーマについて、散発的に重点策を繰り出すやり方は、そろそろ限界にきている。

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